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【未完の作品に傑作なし】小説を最後まで書き切るコツは、書くのをやめる理由を探さないこと!「書き上がった」という成功体験を積み重ねよう

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未完の小説に傑作なし!書き上げるコツと心構え

傑作を書きたい、自分の世界を自在に書きたいと意気込むものの、かなりの人が途中で挫折する。そこで書き上げるコツと心構えについて解説する。

完結しない原因は、準備不足に尽きる

未完の作品に傑作なし。傑作でも完結していないのではどうにもならないし、応募もできない。

どうして書き上がらないのか。ここでは理由を7つ挙げたが、総じて言えば準備不足だ。「入り込めない」に足りないのは興味だろう。興味の持てる題材でないからのめり込めず、書いていて空々しくなってしまう。

逆に「入り込めすぎる」場合もある。こちらは失恋したばかり、怒っている最中などで、つい思いを書きすぎてしまう。このパターンに足りないのは客観性だ。

「山がない」「ゴールが見えない」「素材不足」「下調べ不足」は、ストーリーメイクが不十分なまま、まあどうにかなるだろうと見切り発車したパターン。必要な知識と盛り込む出来事、そしてストーリーの練り込みが足りない。「熟成不足」は、テーマに関して自分の中でまだ消化しきれておらず、これを書いても薄っぺらいだけだと嫌になるパターン。これは一筋縄ではいかない。

何かに関して考えを熟成させるには時間がかかる。資料を読めばいいというわけにはいかず、テーマについて考えがまとまっていないといけない。テーマについては、世の中について、人間について、日頃からよく考えておくしかない。

書き上がらない7 つの理由

1.入り込めない
全く興味がない題材、または興味はあってもよく知らない分野だったりすると物語に入っていけない。

2.入り込めすぎる
冷静ではいられないことを題材にしてしまうとうまくいかない。時間をおくか、設定を変えるかする。

3.山がない
展開がないと面白くならない。主人公には苦労させ、作者は仕掛けを楽しむように設計してみよう。

4.ゴールが見えない
それまでに書いた場面を収斂させ、最後にまとめきれるか自信がなくなる。しかし、先に進むしかない。

5.素材不足
長編の場合は、サブプロットがないともたない場合がある。盛り込む素材は枚数に合わせて決めよう。

6.下調べ不足
ジャンルによっては専門知識が必要。ただし、必要なのは知識より想像力。一を知って十を書く。

7.熟成不足
人間に関する洞察、気づきが欲しい。感性が必要となるが、人生経験がないと書けない分野もある。

よくなっていれば、助言はスルーしても

書き上がらず、どこかに問題があるのかもしれないとなると、誰かにアドバイスしてほしくなる。しかし、なんでも無批判に受け入れてしまうと作品が壊れてしまう。

助言は正しくても、「言われたまま直す」のではなく、自分も納得して直すことが肝要だ。たとえば、「必要ないから削るべき」という指摘は、「前後関係を見直して必要な箇所にすれば削らなくてよい」とも解釈できる。

ただし、自分に都合のいい解釈をしないこと。助言者に「そう直したか。しかし、そっちのほうがはるかにいい」と言ってもらえる修正をしよう。助言を拒絶しすぎるのもよくない。的はずれなアドバイスだと思っても、一度は検討してみよう。

いずれにしても小説に「絶対正解」はないのだが、正解がないからこそ、果たしてこれでいいのかと不安になってしまう。

すべての小説は、それを笑っている人のほうが、〈間違っているのではないか、という、孤独な疑いの中から生まれてくるものである〉(高橋源一郎『一億三千万人のための小説教室』)

作品を通じて、「これも正解の1つ」を証明しよう。

やめていい正当的な理由を探さないこと

問題が準備不足であるなら、じっくり準備するしかないが、準備ばかりしているわけにもいかない。

もしも基本的な筆力が不足しているのであれば、ハードルを下げて、書ける枚数で書くしかない。枚数は短くても、「書き上がった」という成功体験は貴重だ。

それで10枚なら10枚書けるようになったら、10枚の連作短編を連ねて中編、長編にするという手もある。実際、長編は大小の場面の集合体でもある。

作品には問題がないのに、書き上がらないこともある。頭の中でストーリーを考えている時点では、だいたいどの作品も傑作に思える。

ところが、書き始めると「なんだかつまらない作品」に思え、結末まで果てしない気がして、書くのが嫌になってしまう。

こうなると、書くのをやめる理由を探してしまう。いわく、こんなの駄作だよ、書き上げても意味ないよ、一からやり直したほうがいいと。これは悪魔のささやきだから従ってはだめ。

百歩譲って、本当に駄作だったとしても、書き上げて、「やっぱり駄作だった」と思うことに価値がある。それも成長だ。

とにかく書いて完結させることに意義がある。些末な部分で引っかかるなら、そこは適当に流してでも前に進む。完結させられれば、その過程でたくさんの技術を得ることができるからだ。

挫折しそうになったらこう思え!

うまくいかないのが小説
簡単に書き上がると思うな、一発で会心の作品が書けると思うな。考えが甘い人ほど挫折するし、準備も怠る。

プロだって挫折しそうになる
プロでも「駄作かも」と不安になると言う。そこでいつもいつも撤退する人は永遠に書き上がらない。

書いてからボツにしよう
ボツにするのは書き上げたあとで! 結果、駄作でないこともあるし、駄作でも技術と経験値は上がっている。

究極の小説上達法

小説の修業法はあまたあれど、書くことにまさる修業法はない。書けば書くほど技術は上がる。これは書かない人には実感できない。

※本記事は2018年10月号に掲載した記事を再掲載したものです。