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ご都合主義にならないために|人物造形のメリット3つを今すぐ押さえよう!

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人物造形の秘訣 君の小説の人物は生きているか?

小説の中の人物は人形ではなく、人間だ。固有の性格もあれば、過去も持っている。こうした内面や履歴を作っておかないと、読者は登場人物に憧れもしなければ共感もしない。そうならないように、リアルな人物を作る方法を学んでおこう。

人物は人形ではない 血の通った人間にしよう

人物造形はなぜするのか、人物造形とは何をするのか、ジャンルによってやり方が違うのかなどを確認しよう。

登場人物に命を吹き込もう

人形劇を見ていると、始まる前までは人形を動かしているヒモなり棒なりも見えるが、話に引き込まれると人形を操っている黒子の姿が見えなくなる。

さらに感情移入まですると、物理的には何も変わらない人形の顔に表情があるような気になる。

ただの人形に命が吹き込まれ、人間になった瞬間だ。

小説の場合も登場人物に命を吹き込み、「本当の人間みたいだ」と思わせたい。

では、どうしたら「この人物は生きた人間みたいだ」と思ってもらえるだろうか。

人間であれば意思や性格を持っているし、過去(経歴)もある。こうした属性を与えることが、人物造形の第一歩となる。

キャラクターとは?

本特集にはキャラクターという言葉が出てくる。「ゆるキャラ」のような使い方もするが、ここでは「性格、または性格を持った人物」の意で使用する。

人物造形がもたらす効果

固有の性格を持たせるメリットを3つ挙げよう!

メリット①人間が描ける

「芝居の書き割りじゃないんだから」と言うことがある。書き割りとは芝居用に壁などに描いた背景などを言う。ここに群衆を書いた場合は目鼻のない同じ顔が並んだりする。性格づけをされていない人物は、ちょうどこの書き割りに描いた人物のよう。性格も人格も個性もない棒人間のようなものだ。

固有の顔や性格を与えられれば人間っぽくなり、さらにその人物の言動に普遍性があれば、そこに人間を見出すことができる。

メリット②物語が動き出す

主人公に「人に優しく、困っている人を見たら放っておけない」という性格を与え、そこに「初めて都会に出てきて右往左往している老人を見かける」という状況を設定したら、主人公は「どうかされましたか」と声をかけたり、どうにかしようとするだろう。

もちろん、人物造形しなくてもそのようにもっていくことはできるが、その場合は「手を貸さない人もいるよ」という不自然さが残る。人物造形はそうした作意を隠してくれる。

メリット③貫通行動をする

貫通行動とは人物が常に一定の反応を示すことで、性格的な反応と目的への反応がある。

前者は、たとえば「頑固者」という性格を与えられたらいつも「頑固者」の反応をする。ただし、性格的な反応は状況にもよるので、必ずしもいつも“貫通”でなくていい。

重要なのは後者で、主人公は(一時的に後ろ向きにはなっても)常に目的に向かっていないといけない。そうしないと話があっちに行ったりこっちに行ったり蛇行する。

ジャンルによる人物造形

人物造形の必要性と、ジャンル別の違いを解説!

個性的かどうかは問わない

まず、人物造形とはどういうことかをはっきりさせておこう。

よく「キャラクター(キャラ)が立っている」と言ったりするが、このように個性的な性格設定をすることも人物造形と言う。

一方、キャラ的にはごく普通の主人公もいる。

しかし、個性的かどうかを問わなければ、何がしかの性格は持っているはずで、ここではそうした内面を人物に与えることも人物造形と言うこととしよう。

性格が人物を動かし、読者を感情移入させる

では、なぜ人物造形をするのか。

1つは、性格が行動の基準になっているから。性格があるからその人らしい行動をし、会話にしても、押し黙ることも含め、その人らしい話し方になる。性格がなければ、固有の行動も感情もない。

もう1つは、読者を感情移入させるため。「こんな人になりたい」と憧れ、「私と同じ悩みを持っている」と共感するのは、性格(内面)があるから。心のないものには誰も惹かれない。

ジャンルによる人物造形の違い

人物造形のやり方は、ジャンルによってかなり違っている。

文芸に絞って言うと、児童書やライト文芸などでは、キャラクターを立てるということをする。

人物の性格の中から1つか2つを強調し、「強くて優しい男」のようにタイプにする。そうすることで読者の頭にタイプがインプットされ、わかりやすくなる。

また、このジャンルでは外見についても具体的に設定する。

一方で、純文学や私小説などでは、キャラクターを立てるということはあまりしない。

自分に近い人物を主人公にするということもあるが、つかみどころのないのが性格というもので、本当の人間を描こうとしたら、類型的なタイプには分けられないだろうと考えるからだ。

また、外見はあまり詳しく書かない。いちいち説明するより、想像させたほうが効果的だからだ。

しかし、人物造形をしないわけではなく、しなければ、さまざまな不都合が生じる。やり方が違うのだと考えよう。

キャラを立てるジャンル、立てないジャンル

人物造形はしても、ジャンルによってはキャラクターを立てないことも。それを図にした。

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あなたは大丈夫? ストーリー先行の落とし穴

人物造形に先行してストーリーを考えた場合、つまり、人物造形を全くしていない状態でストーリーを考えた場合、人物の性格(キャラクター)がストーリーに影響しないため、作者は意思を持たない登場人物たちを自在に動かし、すいすいストーリーを進めることができる。

それならそれでけっこうな話ではないかと思われそうだが、そううまくはいかない。人物が展開にかかわってこないため、作者は自分にとって都合のいい展開をしてしまい、ご都合主義になってしまう。

それならば、ストーリーより先に人物造形をやればいいのかという話になるが、なんの設定もあらすじもない状態で人物造形をするのはやりにくい。とっかかりがなさすぎるからだ。

ストーリーと人物は互いに影響し合う。それを踏まえ、ストーリーを作りながら人物造形をし、また人物造形をしながらストーリーを変えていくのが理想。

※本記事は2019年5月号に掲載した記事を再掲載したものです。