【リアルな登場人物にするには細部も詰めよう】性格は? 職業は? 漫画的手法をまねて人物の履歴書を作ってみよう


人物の履歴を作ろう
ここではキャラクター文芸や漫画を参考に、人物の立て方、履歴の作り方を解説しよう。
漫画や映画の手法を参考にしてみよう
一般の小説では、人物の履歴書までは作らないことが多い。基本的な性格だけざっくりと決め、書きながら性格を加えていく。
一方、漫画や映画などでは詳細な人物の履歴を作り、1人の個性ある人格を作る。この手法は小説にも応用でき、実際、キャラクター文芸などでは用いられている。ここではその手法を紹介しよう。
トラウマだけでなく、性格や環境も考えて
過去の出来事の影響を考えるときに注意したいのは、人物のトラウマ(心的外傷)だ。「いじめを受け、それで引きこもりに」と設定してもいいが、いじめを受けた人がすべて引きこもりになるわけではない。
原体験などとの因果関係を考えるときは、そこに性格や環境の要素を加えるとより必然性が増す。
キャラ設定と主人公の職業
キャラは端的に
登場人物が多いエンタメ小説では、誰が誰だかわからなくならないように、キャラを立てる。特に主人公以外にキャラが立った人物が多い傾向がある。
主人公の職業は?
医師や弁護士など専門的な職業を描けたらいいが、ごく普通の会社でも意外と未知の部分がある。また、働き方改革など世相を盛り込んで興味を惹く手もある。
履歴書をつくってみよう
漫画や映画、特に連載や連続もの、シリーズもので、主人公の日常を描いたものでは、個性的なキャラクターが求められる。
ストーリーというのはみな似たり寄ったりで、特殊な事件や世界を扱わないのなら、ここでの差別化はできない。そのうえで読者や観客を惹きつけるには、キャラクターを立たせるよりない。
そのために、漫画や映画では人物の履歴書を作る。重要なのは性格だが、星座なども「冬生まれだから我慢強そう」のように人物造形のヒントになる。
ただ、この履歴書はあくまでも見本。「ここは詳細に決めなくていい。ここはもっと追加しよう」というように自分流、小説流にアレンジして使いこなそう。
キャラかぶりのチェックにも使える
人物の履歴書を作るときに注意したいのは、まだ設定が不十分ではないかと考えすぎないこと。書きながら追加、変更もできるので、設定だけで作業が止まってしまうようなら、どこかで見切りをつけよう。
特に小説の場合は、髪型や目の色、服装については細かくは書かないことが多いので、ざっくりした傾向だけで十分だ。
人物の履歴書は1人の人物を掘り下げるときも便利だが、5人〜10人もいる登場人物を比べるときにも活用できる。
たとえば、主人公と副主人公の性格や外見が対照的になっているかとか、性格や属性がかぶっていないかなど、チェックシートとして使うこともできる。
『わたし、定時で帰ります。』に学ぶ人物造形
人物造形で定評のある朱野帰子さんの小説を例に、個性的なキャラとキャラ分けを見てみよう。
主要人物
東山結衣
絶対に定時で帰ると決めている。定時退社後は、行きつけの上海飯店でビールを飲むのが日課。
諏訪巧
結衣の恋人。優秀な営業マンで、家庭的な男性。仕事よりもプライベートを大切にしている。
種田晃太郎
結衣の元婚約者。仕事中毒。大学まで野球部に所属。無茶な依頼もこなしてしまうデキる男。
福永清次
新部長。晃太郎の前職の社長。無茶な仕事を振って部下に無理をさせるブラック上司。
三谷佳菜子
結衣の同期。学校も会社も休んだことがない。まじめすぎる努力家。結衣に対抗心がある。
賤ヶ岳八重
結衣の先輩。双子を出産し、早々に職場に復帰。仕事に生きるスーパーワーキングマザー。
来栖泰斗
新人。やる気ゼロ。すぐに「辞めたい」と言い出す。残業しない主義の結衣の唯一の味方。
吾妻徹
技術はあるが要領が悪く、仕事が遅いため、会社に住みついている。ネガティブ思考。

※本記事は2019年5月号に掲載した記事を再掲載したものです。