公募/コンテスト/コンペ情報なら「Koubo」

【続きが気になる物語の作り方】『サバイバル・ウェディング』から学ぶ! “不幸のどん底”と“期限縛り”が生む没入感

タグ
小説
シナリオ・脚本・台本・戯曲
バックナンバー

上司のスパルタで“いい女”に変身? 幸せ求めはい上がる痛快コメディー

『サバイバル・ウェディング』

放送 日本テレビ
キャスト 波瑠 伊勢谷友介 吉沢亮 高橋メアリージュン ブルゾンちえみ 風間俊介
原作 大橋弘祐『サバイバル・ウェディング』(文響社)

STORY
黒木さやか、29歳、出版社勤務。30歳の誕生日に結婚式を挙げるべく、3か月前に寿退社。幸福の絶頂と思いきや、フィアンセから突然、「結婚できない」と言われ、一夜にして破局。しかも、すでに仕事も辞めている。さやかは復職できないかと元の職場の「週刊エッジ」編集部を訪れるが、すでに後任が決まっていて復職は無理。しかし、「月刊riz」なら空きがあると名物編集長を紹介され、そこでこう言われる。「半年以内に結婚しろ。でないとクビ!」。

婚活+コメディーの人生応援ドラマ

大橋弘祐の小説、痛烈婚活コメディー『サバイバル・ウェディング』がドラマ化される。

「半年以内に結婚しないとクビ」と言われたさやかは、型破りな変人編集長による恋愛テクニックによって婚活をする。それは、海外有名ブランドのマーケティング戦略を恋愛に応用したもの。「なぜおまえが男に捨てられたか教えてやろうか。おまえの市場価値が相対的に低いからだ」

毒舌ナルシストの超変人によるスパルタ婚活は成功するか。生きることに不器用な人に贈る、人生応援!痛快サバイバルコメディー。

原作小説のここを盗め! その1
いきなりの不幸と時限装置

物語に引き込まれる2つのテクニック

『サバイバル・ウェディング』の冒頭では、2つの定番の設定が用いられている。

1つめは「いきなりの不幸」。主人公が婚活するにしても、ごく普通の女性が「結婚を夢見て」という設定では平板だが、この作品では「3か月後に結婚」という状態で婚約者の浮気が発覚し、そのことを詫びるのかと思いきや、原作小説の冒頭では、「本当にごめん……。結婚できないんだ」と言われ、婚約は解消される。幸福の絶頂から不幸のどん底に落とされるわけだが、ここから再び絶頂を目指すからこそ、その落差が楽しい。

これは主人公の感情の起伏の典型で、童話の『シンデレラ』がまさにそう。すなわち、「シンデレラは継母とその連れ子たちにいじめられている」というところから話が始まる。サクセスストーリーは、大前提として「まず不幸」でないといけない。

『サバイバル・ウェディング』では、このあと、「半年以内に結婚しないとクビ」と言われる。

これは一種の時限爆弾のような設定で、期限を決められると途端に緊張感が高まる(「72時間以内に〇〇しないと」などはよくある設定)。

『サバイバル・ウェディング』の場合も「半年以内に結婚」という設定がなかったら、読者ものんびり構えてしまい、「早くしないと」という気持ちにはならない。

スクリーンショット 2026-04-22 114419.png

ただの恋愛小説ではだめ

恋愛小説を書こうとしたとき、初心者の方がよくやってしまうのは、普通の恋愛ものにしてしまうこと。これだと面白くなりにくい。

面白くするには、以下の3つの要素を盛り込みたい。

1つ、主人公を困らせること。
1つ、ミステリー、サスペンス、コメディー、冒険といった要素との合わせ技を考えること。
1つ、2018年の今という時代性を盛り込むこと。

これが最低限の条件。

原作小説のここを盗め! その2
うんちくとコメディーでもっと先が読みたくなる

実用性と笑いが互いに補完しあう

『サバイバル・ウェディング』には、マーケティングに関するうんちくがたくさん出てくる。

たとえば、「マーケティングの基本は顧客のニーズに耳を傾けること」と言う編集長に、さやかが「彼のためにいろいろした」と反論すると、「それは顧客のニーズを満たしてるんじゃなくて、顧客の言いなりになってるんだ」と一刀両断。説得力がある。

また、うんちくをたれるだけでなく、コメディーの要素も加えられ、面白く読める。

「ああ、それ知ってます。カップルでつり橋に行くと、不安定な場所に立っていることにドキドキしてるのを、恋愛でドキドキしてると錯覚するやつですよね」
 昔、雑誌で読んだ知識を話した。
「そうだ。だから次会うときは、そのつり橋理論を応用すればいい」
「じゃあ、彼をつり橋に連れていけばいいってことですか」
「あほか。つり橋で復縁をせまる三十女なんて怖すぎるだろ」
(『サバイバル・ウェディング』)

というクスっとさせるつっこみがところどころにあり、次のページを読む推進力になってくれる。

※本記事は2018年8月号に掲載した記事を再掲載したものです。