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公募Q&A「作品制作」 添削を受けても「オリジナル作品」として応募できる?

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公募Q&A

応募要項にはよく「オリジナル作品」と書かれてあります。オリジナルの定義を知りたいです。

端的に言えば「自分で作ったかどうか」です。

公募での「オリジナル」は「独創」ではなく「自作」

公募ではよく「未発表オリジナル作品」という規定があります。

この「オリジナル」は「独創」という意味ではありません。
独創とは、自分だけの着想でこれまでにないものを作り出すことですが、そんな規定があったら、ほとんどの作品が規定違反になってしまいそうですね(笑)。

知識を持って生まれてきた人はいません。みんな真似て、学んで、アレンジして創作しています。その意味では「自分だけの着想」ということはありませんし、「これまでにないもの」もありません。みんな何かになんらかの影響を受けています。

応募要項で言う「オリジナル」とは、「独創」という意味ではなく、「自作」という意味です。作品は「独創的」でなくてもかまいませんが、自作であること。

では、何をもって自作と言うか。登録も証明も必要ありません。「私が書きました」「私が作りました」と言える作品であれば、それはオリジナル作品です。
ちなみに著作権は制作した瞬間に発生します。

誰かに手伝ってもらっても、多少はかまわない

ということで問題は解決しましたが、せっかくなので、もっと深く考えてみたいと思います。
公募の主催者が「オリジナル」と規定するとき、問題にするのは以下の二つです。

・応募者本人が自分で作った作品なのか(自作かどうか)。
・他の著作物の盗用、類似作品ではないか(真似でないか)。

まず、「自作かどうか」から考えていきたいと思います。
自作ではない作品とは、どんな作品でしょうか。

・俳句を作るとき、仲間にヒントをもらった。
・エッセイを書いて、先生に添削してもらった。
・方言がわからなかったので、地方の友人にセリフを直してもらった。
・時代小説の時代考証をお願いした。
・小説のプロットをまるまる考えてもらった。
・漫画の背景を手伝ってもらった。
・作曲した作品を補作してもらった。

ほかにもいろいろあると思いますが、要は「誰かに手伝ってもらった」「サポートを受けた」ということですね。

これらが「オリジナル」の規定に抵触するかどうかは程度によります。
「ヒントをもらった」「添削してもらった」と言っても、最終的には自分で書いた、作ったのであれば問題ありません。

小説のプロットも、漫画の背景も、楽曲の補作も、友人などにちょっとサポートしてもらったという範疇であれば問題ありません。

問題になるとすれば、創作性の高いサポートをしてもらった場合です。
たとえば、「何行にもわたって書き直してもらい、それをそのまま使っている」とか、「漫画の背景もベタ塗りではなく、創作的に描いてもらった」とか、「楽曲の補作というよりアレンジをしてもらった」など。これだとサポートで済むかどうか。

サポートした側が「応募するなり投稿するなり、どうぞ好きに使って」というスタンスで手伝ってくれたのならいいですが、それでも「これはもう手伝ってもらったというレベルではない、共作だ」と思うなら、共同名義で応募するという手もあります。

ちなみに、添削を受けるために第三者に見てもらっても、その作品は未発表と言えます。
一般に未発表かどうかを問うのは、応募者本人の著作物なのか(応募者本人が著作権を有しているか)どうかであり、誰かに見られたかどうかを問うものではありません。

例外的に「ENEOS童話賞」では第三者に見られた作品は未発表作品ではないと規定しています。この場合は、添削を受けた作品を手直しし、まだ誰にも見せていない作品にして応募してください。

同じ真似でも、パクリ感があるかどうかが境目

次に「真似でないかどうか」問題です。
これに該当するケースを挙げてみましょう。

・既存のストーリーと酷似している。
・川柳で、先行作品とそっくり。
・絵画で、キュビズムの手法を真似した。
・写真で、湖に写る富士山という構図を真似した。

これもやはり程度問題ですね。
ストーリーには著作権がありませんから、似ていても問題ありません。
しかし、誰が読んでも「あれのパクリだ」と思うくらい似ていたら、著作権的には適法でも「オリジナル」とは言えないですよね。

短歌や俳句、川柳は全く同じ作品ができることもあり、偶然の一致であれば、双方に著作権が認められます。
しかし、とは言え、芭蕉の句とそっくりだったら「オリジナル」と認めてもらえるでしょうか。「先行作品が刷り込まれていて、無意識に依拠してしまったのではないか」と言われそうですね。

絵画の作風や手法は似ていて問題ありません。特にキュビズムのように有名なものはみんなで大いに真似すべきものです。
しかし、つい最近、誰かが開発したような手法を真似ると、パクリ感半端ないという印象になってしまいますね。

写真の構図は、「夕日に映える東京タワー」など、自然のもの、動かせないものなら同じでも問題ありません。
しかし、人為的な構図で、そこに創作性がある場合、これは著作権法に抵触する可能性があります。

なお、これらすべてに共通しますが、明らかな模倣であっても、先行作品を超えていると世間は称賛します。
逆に先行作品の真似&劣化版を作ると、世間は不愉快になるんですね。

超えているとか、超えていないとか定義が曖昧ですが、「先行作品を素材としてうまく料理し、新しいもの(オリジナル)を作った」と思わせられればOKです。

フリー素材、コピペはNG

最後に、問題なさそうに見えてやはり問題なものを挙げてみましょう。

・論文を書く際、資料をネットで検索し、コピペした。
・著作権フリーの素材を使って作品を作った。

コピペは、著作権的にアウトです。
著作権が発生しないもの(単なる事実やデータ、ごく短い言葉など)は問題ありませんが、著作物をコピペして、それを自分のものとして使ったら問題です。

使うときは、コピペしたものを素材として、新たな文章に書き換える必要があります。
もちろん、「てにをは」を変えるくらいではだめ。ある程度の労力をかけ、異なる資料から新しいものを作るなどして現物の痕跡を消す必要があります。
あるいは、手を加えずに引用し、出典を明記する手もあります。これを引用と言い、引用は適法(フェアユース)です。


次に、フリー素材について。
世の中には著作権フリーのイラスト、写真、音楽などがあります。
これらを使えば、自分の文章に挿絵を入れたり、お店のBGMに使ったりもできます。

しかし、公募の場合はどうでしょうか。
素材と言っても絵の具などは問題ありませんが、シンボルマークを描くとき、背景にデザインのフリー素材を使ったとなると微妙です。

創作性のあるフリー素材を使えば「オリジナル」という規定に引っかかります。創作性がないフリー素材を使えば、「手抜きしないで自分で描いてよ」と言われます。

加えて、フリー素材とは言いながら、使用はフリーだが、著作権はフリーでない場合もあります。
公募では避けたほうが無難です。

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