公募Q&A「作品制作」 プロットは作ったほうがいい?
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プロットは作ったほうがいいですか?
プロットがあったほうがいいなら作りましょう。なくても書けるなら、そのほうがいいです。
プロットとは?
プロットとは、小説や脚本など物語の筋立て、構成案のことです。
形式、分量はいろいろですが、大別すると以下の二つに分けられます。
・ストーリーが簡潔に書かれたもの
あまり細かいことは決めず、「何が、どうして、どうなったか」ということが簡潔に書かれたものです。あらすじと同じと考えてください。
作者本人が備忘録として記しておく場合と、編集者など誰かに概要を説明するときに書く場合があります。
・かなり詳しい構成案
起承転結であれば、「起」「承」「転」「結」に分けられ、その中に場面が箇条書きにされています。
それだけでなく、場面と場面の関係(伏線と回収など)や、その場面を書くときの注意点、あるいは、人物や読者の感情の起伏(ここで絶望的な気持ちになるなど)も書いてあったりします。
こうなるとプロットというより、設計図に近いかもしれません。
プロットを作る意味と注意点
プロットは、地図のようなものです。知らない山に初めて入っていくとき、地図がないと迷ってしまいますよね。そんなときには地図があると便利です。
同様に、書いている途中で、「あれ、この話、これからどう展開させるのだったっけ?」となったとき、プロットがあれば「ストーリーは今どこまで進んでいて、このあと、どこに向かえばいいのか」を確認できます。まさに地図ですね。
プロットがあれば安心です。途中で挫折するリスクも低くなりますし、思いついたストーリーを忘れてしまったときのメモにもなります。
プロットを作ることは、とても意味のあることですね。
しかし、プロットを完璧に仕上げると、それで完結させた気になり、いざ書き始めると、すでに決まっている話をただ文字に起こしていく作業に思え、書いていてつらくなります。面白くもありません。これは苦痛です。
とは言え、そもそもノープランではうまくいかないからプロットを作ったのですから、プロットを作らないわけにはいきません。
そんな向きには、いい方法があります。
まずはプロットを仕上げますが、本番ではプロットのことはいったん忘れて書くのです。ストーリーはある程度、頭にあります。それをもとにしつつも、それにはとらわれず、自然な流れに身を任せる。プロットを見るのは、先がわからなくなったときだけにするのです。
実作品を書き出すと、プロット上の不備に気づいたり、別の妙案が浮かんだりします。地図上では右に行くことになっているが、現場に行ってみたらもっといいルートがあったということはよくあります。
そのとき、間違っても当初のプロットに固執してはいけません。結末との整合性をつけながら、プロットのほうを微調整しましょう。
これがプロットを作りながら、プロットから自由になる方法です。
プロットが必要なケース
プロットを書いたほうがいいケースは、以下の三つです。
1. 小説を書いた経験が乏しい初心者
2. 長編を書く場合
3. ミステリーのように仕掛けの多い作品の場合
初心者は、書きながら即興でストーリーメイクするのは困難です。あらかじめ綿密にプロットを作りましょう。これをやることで、ストーリーの型やストーリーメイクの勘所が身につくというメリットもあります。
初心者でない人でも、慣れない長編を書く場合や、謎を仕掛けたり明かしたりするタイミングが難しい作品の場合は、簡単でもいいのでプロットを作っておきましょう。
プロットが必要ないケース
プロット不要のケースは、以下の三つです。
1. 掌編小説の場合
2. 書きなれた枚数の場合
3. シンプルな構成の作品の場合
400字詰原稿用紙換算3枚、5枚といった掌編なら、ざっくり頭の中でストーリーを考えたら、もう書いてしまったほうが早いでしょう。
それが10枚で30枚でも、「もうこの長さなら枚数の感覚がわかる、ペース配分が身についている」という人は、プロットなしでもいけます。
さらに、100枚でも200枚でも、その人のとっては書きなれた枚数であり、かつ、そんなに複雑なストーリーでなければ、即興でもいけます。
即興で書けるのであれば、それが一番です。旅行だって、スケジュールガチガチの団体旅行より、気ままな旅のほうが楽しいですよね。それが醍醐味!
物語を構成するのは、化石を発掘するのに似ていると言います。
あなたが書くべき物語は、思わぬ形で埋まっているかもしれません。
それをショベルカーのようなもので掘り起こすのは乱暴です。刷毛などを使い、どのような形で埋まっているか、現場で慎重に判断しないといけません。
ショベルカーに当たるのが、プロットです。
発掘という作業に慣れない人は、とりあえず起承転結というショベルカーでざっくり掘り出すのもいいでしょう。それもいい経験です。
しかし、書き慣れた人は掘りながら全体像を想像し、丁寧に掘り出していきましょう。
そのほうが書いていて面白いですし、無理のない自然なストーリーになります。