公募Q&A「受賞」 受賞したらプロになれますか?
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プロになりたいです。大賞を受賞したらプロになれますか?
公募で、プロの登竜門としての位置づけがはっきりしているのは、全てのジャンルの中で小説(児童文学を含む)しかありません。
評論・短歌・俳句・詩でプロになるのは難しい
公募の中で、真にプロへの登竜門と言えるのは小説しかありません。
評論は文学賞の部門に設けられていることがありますが、開催件数が少ないですし、小説家に比べると文芸批評家の需要は少ないでしょう。
短歌は「角川短歌賞」「歌壇賞」、俳句は「角川俳句賞」「俳壇賞」、詩は「現代詩手帖賞」など歴史と伝統ある賞がありますが、職業として成り立つかはまた別の話です。
アート系でプロになるなら受賞歴より創作活動が大事
漫画、絵画、イラスト、デザイン、写真公募にも権威ある賞はありますが、履歴書に書く資格のようなもの。「手塚賞受賞」「二科展入選」「ザ・チョイス入選」といった実績はあるに越したことはありませんが、それだけで発注が来るわけではありません。
プロになれるかどうかは、どのような創作活動をし、どのような作品があるかのほうが重要です。
クライアントが発注しようかどうか迷ったとき、受賞歴よりは作品を見ますよね。最近はWEBで作品を発表することが容易なので、「いいなあ、こんな作品を作る人に仕事を依頼したい」と思わせるような作品をたくさん作り、あなたの実力を示しましょう。もちろん、SNSなどでのPR活動も忘れずに!
プロになれない文学賞も
プロに直結しているのは小説しかないと書きましたが、すべての文学賞がそうではありません。
公募としては優良でも、プロを輩出できていない文学賞はたくさんあります。それは新人を育成するシステムを持っていないからです。
新人を育てるとは、書く場を与えることです。
文学賞の主催者は、「文學界」「新潮」「小説すばる」「小説現代」といった雑誌を持っていて、新人はまずそこで小説を書きます。
新人は書く場を与えられると伸びます。
もともとポテンシャルのある人ですから、そんな人が「誰かに読まれること」を前提に書き、編集者のチェックもクリアーして商業誌に載ると、書くたびにレベルアップしていきます。
プロットを提出してもOKが出なかったり、書いても書き直しになったり、その結果、お蔵入りということもありますが、こうした修業時代が才能を開花させます。
公募でプロになるなら大手出版社の文学賞に応募!
結論を言えば、プロになれる公募とは、文芸誌を持つ大手出版社が主催する文学賞です。こちらは受賞後、仕事を発注してくれる編集者と二人三脚で活動しているわけですから、それがそのままPR活動と言えるかもしれませんね。
それ以外の文学賞の場合でも、「受賞作を読んで他社の編集者から声がかかった」「受賞という看板を持って売り込みにいき、仕事をもらった」という例もありますが、文芸誌を持つ大手出版社の文学賞と比べると、プロになれる可能性は極めて低いと言えます。
※注 狭義の文芸誌は文学研究の雑誌を指し、エンタメ小説をたくさん載せている小説誌(読み物誌とも言います)とは区別されますが、ここでは文芸誌、小説誌を含めて文芸誌と呼んでいます。