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【広島市現代美術館】被爆80周年記念 記憶と物 ―モニュメント・ミュージアム・アーカイブ―

公益財団法人広島市文化財団
被爆80周年を迎える広島で「記憶」と「物」の関係を見つめる


比治山の《加藤友三郎元帥銅像》(1935)台座(現在)

本展は戦争や原爆の「記憶」と、美術作品をはじめとする「物」との関係をテーマとしています。当館の位置する比治山にかつてあった、戦中の銅像やその作り手、戦後に再建された像の例から、それらが関係した記憶の形成、忘却、再構成について考えます。また、モニュメント、ミュージアム、アーカイブといった記憶形成に関わる物や活動に関心を持ち、主題として取り扱うアーティストの試みからは、過去を現在との連続性において捉え、過去の営みと対話的に向き合う姿勢を垣間見ることができるでしょう。それらに加え、美術館活動を後付けるコレクションからなる本展は、表現や制度を通して形成される戦争の記憶、当事者性、過去を継承する可能性についての対話的、建設的な議論と思索の場となることを目指しています。

◯比治山の空の台座から
上田直次、吉田正浪、青山三郎

◯過去との対話(招聘アーティスト)
黒田大スケ、毒山凡太朗、蔦谷楽、フィオナ・アムンゼン、小森はるか+瀬尾夏美

◯広島現美コレクションより
丹下健三、イサム・ノグチ、島州一、曺 徳鉉、ヘンリー・ムーア、丸木位里+丸木俊、殿敷侃

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 開催概要



 出品作家について

黒田大スケ(くろだ・だいすけ)
1982 年、京都生まれ、関西を拠点に活動。広島市立大学大学院博士後期課程修了。彫刻家、橋本平八の研究で博士号取得。作品制作の他に展覧会の企画運営もてがける。現在、彫刻に関するリサーチを基に、近代以降の彫刻家やその制作行為をモチーフとしたパフォーマンス的要素の強い映像を制作、シリーズとして展開している。近年の展覧会に「黒田大スケ:天幕のためのプラクティス」(2024、大阪府立江之子島文化芸術創造センター[enoco])、「第7 回昌原彫刻ビエンナーレ2024『silent apple』」(2024、昌原、韓国)、「湖底から帆」( 2023、なら歴史芸術文化村ほか)など。当館ではコレクション展2023- Iにゲストアーティストとして参加。

黒田大スケ《自由の女神について》2022 (C)Daisuke Kuroda

毒山凡太朗(どくやま・ぼんたろう)
1984 年、福島生まれ、東京都を拠点に活動。2011 年3 月11 日に発生した東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所事故によって、故郷である福島の状況が一変したことをきっかけに作品制作を開始。忘れ去られた過去の記憶や場所、現代社会で見えにくくなっている問題や事象を調査し、映像やインスタレーションを制作している。近年の展覧会に「日本国憲法展2024」(2024、無人島プロダクションほか)、「Let There Be Light」(2023、LEESAYA) など。当館では「リニューアルオープン記念特別展 Before/After」(2023)に参加。

毒山凡太朗《令和之桜│ Reiwa Cherry Blossoms -75 years After WW II 》 2020 (C)Bontaro Dokuyama, Photo by Kenji Morita, Courtesy of LEESAYA

蔦谷楽(つたや・がく)
1974 年、東京生まれ、ニューヨーク州クイーンズ在住、アメリカを中心に活動。東京造形大学美術学部卒業後、現代美術センターCCA 北九州スタジオプログラムに2 年在籍。2006 年渡米。ニューヨーク州立大学SUNY パーチェス・カレッジで美術修士号取得 。戦争や核時代において抑圧されてきた現代にまで至る事実や記憶を、寓話的要素を用い国境を越えた問題として再解釈、再構築する作品を制作している。近年の展覧会に、「Memory Bug」(2023、 Ulterior Gallery、ニューヨーク)、「WARP DRIVE」(2022、原爆の図丸木美術館)など。

蔦谷楽《Spider’s Thread: This Landscape》 2020 (C)Gaku Tsutaja, Courtesy of Ulterior Gallery

フィオナ・アムンゼン
1973 年、ニュージーランド、オークランド生まれ、在住。モナシュ大学で哲学博士号取得。現在はオークランド工科大学の准教授。戦争などの歴史的出来事が今なお及ぼしている影響や、そこに関わる社会的・政治的な物語、記憶について、写真や映像を通して探求している。また、こうした歴史がどのように現在に現れ、何を意味しているのか、今では見えなくなった過去の痕跡から私たちは何を学ぶことができるのかを問いかけている。近年の展覧会に、「PHOTO 2024: The Future is Shaped by Those Who Can See It」(2024、メルボルン)「東京ビエンナーレ2020/2021」(2021、東京)など。

フィオナ・アムンゼン、鹿鳴家英志《An Ordinary Life》2021 (C)Fiona Amundsen, Kanariya Eishi

小森はるか+瀬尾夏美(こもり・はるか+せお・なつみ)
映像作家の小森はるかと絵や文章をつくる瀬尾夏美によるアートユニット。2011 年の東日本大震災をきっかけにユニットとして活動を開始。2012 年より3 年間、岩手県陸前高田市に暮らしながら制作に取り組む。2015 年、土地とかかわりながら記録をつくる組織・一般社団法人NOOK を設立。現在は全国各地に赴いてフィールドリサーチを行い、制作と対話の場づくりをしている。近年の展覧会に「ニューアートシーン・イン・いわき 小森はるか+瀬尾夏美」(2024、いわき市立美術館)など。当館ではコレクション展2023- IIにゲストアーティストとして参加。ワークショップを通して「11歳だったわたしは 広島編」の制作をスタートさせる。

小森はるか+瀬尾夏美《11 歳だったわたしは 広島編》2023- 制作風景

 関連プログラム

アーティスト・トーク
出品作家をお迎えし、展覧会場にてリレー形式のギャラリートークを開催
日時| 6/21㊏ 14:00-15:30
参加アーティスト|黒田大スケ、毒山凡太朗、蔦谷楽、フィオナ・アムンゼン、小森はるか+瀬尾夏美(予定)
場所|広島市現代美術館 B 展示室
※要展覧会チケット、申込不要

学芸員によるギャラリートーク
担当学芸員によるツアー形式の展示解説
日時| 7/12㊏、8/23㊏ 15:00-16:00
場所|広島市現代美術館 B 展示室
※要展覧会チケット、申込不要

アートナビ・ツアー
アートナビゲーターによるツアー形式の展示解説
日時|毎週㊏(日)㊗㊡ 11:45-12:15、14:45-15:15
場所|広島市現代美術館 展示室B-1
※要展覧会チケット、申込不要、6/21、22、イベント開催時のぞく

 展覧会カタログ

展覧会のインスタレーションビュー収録。8月上旬発行予定。

 同時期開催の展示

コレクション展2025 -I 開催中-8/24(日)
コレクション展2025 -II 2025/9/6㊏-2026/2/1(日)

 プレス内覧会

日時| 6/20㊎ 14:00-14:50(受付13:50)
会場|広島市現代美術館 B 展示室

取材をご検討の方は、事前のご連絡をお願いします。
学芸員のコメント、出品作家への個別の取材希望がございましたら、あわせてお知らせください。



 同時期開催のコレクション展2025-I


金田実生《明るい夜》2012

コレクション展では、当館コレクションの特質に親しんでもらうためにいくつかのキーワードとともに作品を紹介しています。展示を大きく二部構成に分けて展開し、第1 室と第2 室を「ハイライト」、第3 室と第4室を「広島/ヒロシマ」として、収蔵作品がもつ意味や歴史とそこから生まれるひろがりをご覧いただきます。

ハイライト1 広島のまちとアーティスト
美術作品は美術館のなかにあるばかりではなく、まちのなかにも多く見られます。たとえば平和大通りの緑地帯に立つ柳原義達《ラ・パンセ》。この作品はまちの復興と市民の憩いを願って、1953 年に広島で戦後はじめて設置された野外彫刻と言われています。このセクションでは、それ以降広島のまちに美術をとおして関わったアーティストを紹介します。
出品作家|芥川永、入野忠芳、奥村靫正、イサム・ノグチ、鈴木たかし

入野忠芳《広島拘置所壁画》原画1989

ハイライト2 生命礼賛
「手のひらを太陽に」という歌があります。「ぼくらはみんな生きている」という歌詞から始まるこの歌では、ミミズ、オケラ、アメンボ、トンボ、カエル、ミツバチ、スズメ、イナゴ、カゲロウが「ぼくら」の「友だち」としてあげられています。このセクションでは、生きもの(生命)の枠をそれら虫や動物からさらに広げつつ、作品を紹介します。
出品作家|靉嘔、浜口陽三、金田実生、中原浩大、甲斐雅之 ほか

甲斐雅之《土に埋める77 番8 月6 日 ヒロシマから地球平和の祈り》1995

広島/ヒロシマ
広島は、被爆地としての特質を意識して語られる際、しばしばカタカナで「ヒロシマ」と表記されます。当館の収集方針のひとつに「『ヒロシマ』と現代美術の関連を示す作品」を収集することがあり、「ヒロシマ」をテーマとした制作委託による収集も行ってきました。このセクションでは、広島/ヒロシマという地域性に関連付けられながら生み出された作品を中心に展示します。
出品作家|田中敦子、青木野枝、ナンシー・スペロ、池田龍雄、菊畑茂久馬 ほか

青木野枝《晴玉1》《晴玉2》《晴玉3》2004


PICK UP|菊畑茂久馬《天河 七》1997
戦後前衛美術を代表する美術家のひとり、菊畑茂久馬(1935-2020)が没してから今年で5 年を迎えます。当館が所蔵する《天河 七》は1996 年から2003 年にかけて全17 点(うち4 点は後に作家が破棄)が制作され、本作はその7 番にあたります。本作へのコメントに「ヒロシマのイメージは、人々が次々に新しいイメージで再生することで今日の問題として生き続ける」と菊畑は記しています。上方に浮かぶ船のようなかたち。厳かなダイナミズムをたたえる本作は、常に再生し続けるヒロシマの姿と静かに重なり合うようです。

菊畑茂久馬《天河 七》1997

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通年開催!コレクションに親しんでもらう、さまざまな取り組み

対話しながらみる、いどばた鑑賞会
開催中のコレクション展で展示中の作品から2点をピックアップし、作品の印象や気づきなどを参加者同士で話しながら一緒に鑑賞します。
日程|毎月第1 日曜日 10:30-
会場|A 展示室(コレクション展)
所要時間|60 分程度
定員|6 名程度
※要展覧会チケット、当日受付(先着順)

ベビーカー アートナビ・ツアー
小さな子どもと一緒に気がねなく美術館に足を運んでほしいという願いを込めて、コレクション展をアートナビゲーターがゆったり案内。ベビーケアルームなどの設備やサービスの説明も行うので、小さな子どもを連れてはじめて来館する方にもおすすめです。
日程|毎週水曜日 10:30-
会場|A展示室(コレクション展)
所要時間|30 分程度
定員|3 組6 名程度
申込方法|当館ウェブサイトの申込フォームより
※要展覧会チケット、要事前申込(先着順)
※12時までの到着でしたら遅れてのご参加も可能

アートナビ・ツアー
アートナビゲーターによる展示解説。
展示室をまわりながら開催中のコレクション展をツアー形式で解説します。
日程|毎週㊏(日)㊗㊡ 11:00-、14:00-
会場|A展示室(コレクション展)
所要時間|30分程度
※要展覧会チケット、事前申込不要
※毎月第1 日曜の午前は「対話しながらみる、いどばた鑑賞会」になります

ハロー!コレクションデー
毎月第3 日曜日は、どなたも開催中のコレクション展が無料でご覧いただけます。
中学生以下はいつでも観覧無料。

広島市現代美術館について
広島市現代美術館は、全国で初めて現代美術に本格的に取り組む公立美術館として1989年5月3日にスタートしました。建物は、建築家・黒川紀章による設計で、市内を見渡す緑豊かな比治山公園に位置しています。自然の景観と調和しながら、美術館としての先駆性が表現されており、垂直軸に沿って下から順に自然石、タイル、アルミと変化する素材は、過去から未来への文明の発展や時間の流れを表し、設計者独自の「共生の思想」を体現しています。2023年3月18日、リニューアルオープン。

Photo: SATOH PHOTO Kazunari Satoh


広島市現代美術館|Hiroshima City Museum of Contemporary Art
〒732-0815 広島市南区比治山公園1-1
TEL: 082-264-1121 FAX: 082-264-1198
https://www.hiroshima-moca.jp
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