【地図井式】忙しくても7万字書く!(2)メンタルトレーニング的執筆ライフ 3/4
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落選、負け、失敗、恥は、因数分解するためのただの課題
「今日、いつもより10分早く起きて執筆をする」というプロジェクト目標があって眠りについた翌朝、
「10分早く起きたが執筆せずに二度寝した」というプロジェクト失敗があったと想定してみて、さて、この人をどう客観的に観察できるでしょうか。
- 10分早く起きた【〇】
- 執筆をする【×】
- 二度寝をした【?】
全体としては執筆することはできませんでしたが、10分早く起きることができました。ひとつの失敗もこうやって細分化すると解決できた課題と、解決できなかった課題に分けられます。
「ああ!失敗した今日も書けなかった!」と嘆く暇があったら、10分早く起きることができた自分の行動を成功ととらえ、10分早く起きることができた要因(成功要因)と、執筆できなかった状況がなぜ起こったのか(解決すべき課題)をさらに考えます。
例えば今日は雨が降っていたため二度寝抜群環境であった、という状況や、起きたときに執筆作業をする予定の椅子を見たら、洗濯物が積んでいて座る気にならなかった、片付けが面倒だと思う気持ちが先に来てしまった、などいろいろな要因が見つかります。
さらに「二度寝をした」という事実はそれ単体ではよかったのか悪かったのかわからず、朝二度寝をしたおかげで日中の仕事がはかどり、夜執筆時間が30分も確保できた、としたらそれは朝の早起き執筆プロジェクトとしては失敗だが、1日の執筆行動としては成功です。
失敗は分割して課題化するとただの失敗ではなく気づくことができた課題になり、成功要因も明確化します。
それを毎日一つずつでも解決を図るように試してみると、これだったのか!という課題解決に行き当たるときが来ます。それでも毎日なんて試せない、やっぱりどうしても朝書けない、という結論に行きついたなら、プロジェクトの目標を変更すればいいのです。
執筆だけに限らず世の中のうまくいっているように見えているプロジェクトは同じような試行錯誤でしか進んでいないので、別に自分の身にだけ起こっている不幸などではありません。失敗も恥も全て因数分解できる課題であるだけで、やる気や根気というものの正体は、いかにその課題を細やかに見つけて修正するかというだけなので、過度にその失敗を悔やむことも、過度に自分で自分を褒める必要も貶める必要もなく、ただ起こった結果のパーツを分解し、タイムアップまで可能な限り淡々と試行することです。
執筆とは関係ありませんが20代のとき、社内1000人規模の司会で、台本もろくに読まずに前に立ち、まったく回せなくて沈黙と焦りで混乱した司会をしてしまったことがあります。10年以上たった今思い出しても、その時いた全員の記憶を消すことができたら自分の寿命をいくらか差し出してもよい、と思うくらい恥ずかしい出来事でしばらく人前に立つ恐怖から逃れられずにいましたが、「当日その場には来られたこと」「時間は守ることができたこと」「台本も読まずに人前に立つことができたこと」を成功とし、失敗要因の「台本を事前に読まなかったこと」「初めての事に向き合うときにどんな準備が必要か勉強できていなかったこと」と分けると、恥ずかしさや恐れという形がなかったものを、手に取って扱える形にして対処することができました。今では人前に立つときは、台本で何を事前に読むべきかや、必要な準備が何かを明らかにしたうえで臨むことができるので、あのころよりは堂々と人前に立つことができるようになりました。また、人前で失敗すると自分がどのように挙動不審になるのかも知ったので、周りにフォローをお願いすることもできるようになりました。