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創作キット福袋④ラジオCMコピー

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ラジオCMコピー

ラジオCMコピーはアイデアがもの言う瞬間芸の世界。そんな独創的なアイデアを生み出し、商品の良さを面白く伝えるにはどうしたらいいかを解説する。

訴求ポイントを探そう!

ふだんの日常会話で伝えられるものを

ラジオCMコピーを作るときは、まず何をすればいいか。電通関西支社のCMプランナー、コピーライターの直川隆久さんに聞いた。

「まず、訴求ポイントをはっきりさせることです。これが基本中の基本。これをあいまいにしたまま原稿にしようとすると、グダグダになりがちです」

広告は商品のいいところを宣伝するのが目的。アイデア自体がいくらよくても、聴く人に良さが伝わらないのでは意味がない。「訴求ポイントは複雑ではなく、『牛乳』なら『体を強くする』『手軽に栄養補給ができる』など、ふだんの日常会話で人に伝えられるくらいのものがよいです」

訴求ポイントを見つける定石

この商品があると、どんないいことがあるか

商品の長所を探すのが定石。見つからないときは実際に利用して実感してみよう。
(例)牛乳の場合
・背が伸びる、おいしい、体によい、料理に使える

この商品がないと、どんな悪いことがあるか

生命保険や防虫剤のように、ないと困るものは「ないとどうなるか」を考えてみよう。
(例)生命保険の場合
・不安になる、冒険できない、家族が困る、生活できなくなる

さらに発想を広げる3つの方法

1.商品から考える

「子どもにいいことがある?」「旅行のときにいいことがある?」など、「誰に」「いつ」「どこで」「なぜ」をいろいろ広げて考えると利点が見えてくる。

2.世の中から商品に向かって考える

世相・流行とその商品を関連づけられないか、世の中から商品に向かっていくベクトルを考える。

3.個人的な体験から商品に向かって考える

自分の体験と関連づけられないか、個人的な興味や体験から商品に向かっていくベクトルを考える。

訴求ポイントを形にしよう!

訴求ポイントがわかる場面を考えよう

たとえば「牛乳」の訴求ポイントが「背が伸びる」だったとして、それを連呼するだけのラジオCMもあるかもしれないが、公募の場合、それを具体的なメッセージやストーリーにする必要がある。

つまり、「この商品があると、どんないいことがあるか(この商品がないと、どんな悪いことがあるか)」、その場面を考えるということが必要だ。ここまで来られれば完成はもう近い。

商品の良さを実感する場面を考える

場面を考える手順は、まず「牛乳」であれば、「誰にいいことがあるか」と考え、それで背を伸ばしたいのは「背が低い成長期の子」と思ったとする。次に、その子が「よかった」と実感する場面は何かと考える。そこから「クラスで背が一番高くなったとき」のように考えていけば場面が浮かぶ。同様に「誰に」以外も考えてみよう。

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ラジオCMコピーの書式

ナレーションとセリフと効果音などで構成

ラジオCMは聴いたことがあっても、コピーの原稿を見たことがある人は多くない。その意味ではラジオCMコピーの原稿はシナリオに近いと言える。

書式は上記のような感じで、主としてナレーションとセリフと効果音、音楽などで構成される。20秒のCMなら長さも10行ほどというお手軽な量だ。

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ラジオCMコピーを書こう!

ラジオCMは「?」が作りやすい

ラジオCMの難しさは音だけで表現しなければならないところだが、それを逆手にとる方法もある。「ラジオCMでは音だけで状況をわからせて、『実はこういうことでした』とタネ明かしをすることができます。これは映像ではやりにくい。絵を見たらわかってしまいますから。ラジオCMは『?』が作りやすいCMです」そうした方向で作ってみよう。

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最終チェックをしよう!

作品を音読、録音し、音でチェックしよう

最後に、文章でいう推敲をする。チェックポイントは、ラジオCMコピーとして成立しているか(宣伝として適当か)、規定時間内に収まっているか(短すぎないか)、音だけでラジオを聴いている人にちゃんと伝わるかの3点。

目で原稿を見てチェックしてもいいが、実際に音読し、それを録音し、実際に聴いたり、時間を計ったりするのが一番だ。

ありがちな失敗例

1.訴求ポイントがあいまい

訴求ポイントをどう面白く伝えるかを考えて書いたはずだが、そのとおりかチェック。微調整で修正できなければ一からやり直す。

2.時間が長い

時間オーバーなら、省略できる箇所はないか、セリフをやめ効果音で説明できないか、最後のナレーションは長すぎないかなどを検討。

3.絵がないとわからない

考えた本人には「絵が見えている」が、聴く人には見えない。音だけで状況や意味をきちんと伝えられているかチェックしよう。

 

【ラジオCMコピーの先生】

直川隆久

電通関西支社クリエーティブ局CMプランナー、コピーライター。2018年に大日本除虫菊のラジオCMシリーズ「金鳥少年 2017」でTCC賞を受賞。

※本記事は2021年2月号に掲載した記事を再掲載したものです。