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公募Q&A「著作権」 パロディー、オマージュは著作権的にセーフ?インスパイア、盗作との違い、線引きは?

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インスパイアされて作った作品と、盗作、パロディー、オマージュの違いがわかりません。

インスパイアは「創作のきっかけ」、盗作は「パクリ」、パロディーは「笑いにする」、オマージュは「敬意」です。

インスパイアされて作った作品は応募してOK

インスパイアとは、「動機づける、刺激する、奮い立たせる」といった意味の言葉です。
創作するきっかけにはなったと思いますが、具体的な表現まではまねていないでしょう。

既存の作品を読むか観るなどして、「大いに感銘を受けた。私も読者が号泣するような作品を書こう」と思うことはよくあります。その際は、自分なりの「号泣する作品」を創作したでしょうから、これは盗作でもなんでもありません。

インスパイアされて書いた作品で応募する場合はどうでしょうか。
前述したとおり、「インスパイアされて作った」と言える作品であれば、刺激を受けた先行作品とは別の作品となっているはずです。
しかも、この場合、多くは刺激を受けた作品があることすら誰にもわかりません。応募してもなんの問題もないでしょう。

盗作は応募すると規定違反になる

盗作はインスパイアされただけではく、そのまんまパクったもの。ストーリーや設定、テーマが似ていたというだけでなく、具体的な表現が引き写したようにそっくりだったというものです。
これをやった場合、心に後ろめたさがあります。だから、パクった人は読者に対し、「先行作品の存在に気づかないでほしい」と思います。

盗作した作品で応募した場合はどうでしょうか。
明らかな盗作なら予選の段階で落とされます。誰にも気づかれずに受賞したとしても、誰かに指摘され、問題化し、受賞は取り消し、褒賞は返還となるでしょう。
それだけではありません。創作者としての生命が終わります。
バレなければいいだろうなどとは間違っても思わないことです。

上記のような悪意ある盗作は別として、偶然、似てしまうということもあります。 この場合、「似ているのは設定やストーリーなどのアイデアであって、具体的な表現は同じではない」なら、著作権法的には適法です。

しかし、公募ではオリジナリティーという点で引っかかってきます。
「設定やストーリーは似ているが、先行作品を超えている」ならOK。
「設定やストーリーが似ていて、そこから何も生み出していない」となると、作品としては秀作とは言えないでしょう。

盗作とは少し違いますが、「資料のコピペ」という問題もあります。
資料を参考にすること自体はかまいませんが、参照するのはデータの部分や、ありきたりの表現にとどめてください。面倒くさがらず、自分の言葉で一から書き直す、まとめ直すようにしましょう。

パロディー作品は応募には向かない

パロディーは既存の作品を下敷きに、滑稽にしたり、風刺にしたりしたもの。
パロディーを書いた人は読者に対し、「先行作品の存在に気づかなくてもかまわないけど、知っていたほうが面白くなるよ」と思います。

パロディー作品で応募した場合はどうでしょうか。 結論を言えば、あまりいい結果は得られないでしょう。

筒井康隆に『日本以外全部沈没』という小説があります。これは小松左京の『日本沈没』のパロディーです。
原作のシリアスさと論理性に対し、悪ふざけ、ブラックユーモアが冴え、思わず笑ってしまいます。プロの場合はこういうのも楽しいです。

しかし、パロディーにはかなり悪戯心があって、悪意があるというか、原作の特徴をチクッとからかっていたりします。
こうなると、公募の受賞作としてどうかということになります。
公募の場合はパロディー作品は向かない気がします。

オマージュ作品で受賞した例も

オマージュは尊敬するアーティストに敬意、賛辞を込めて似た作品、似た場面などを作ること。
オマージュ作品を作った人は、読者に対しても先行作品の作者に対しても、「まねしたことを気づいてほしい」と思います。

著作権法では、盗作とパロディーとオマージュの区別はなく、引き写したように同じ文章があれば著作権侵害となり得ますが、そうでないなら適法です。
ただし、イメージを損なうような場合は、著作者人格権に抵触する可能性がありますので、そのようなことにならないよう注意してください。

オマージュ作品で応募した場合はどうでしょうか。
その前に、「それ、本当にオマージュですか」という問題があります。
応募者本人は「あまりに好きすぎてオマージュ作品を作ってしまいました」と言っても、設定もストーリーも同じで、似た場面が似た展開をし、同じフレーズが何か所も出てくるとなれば、それは「盗作じゃない?」と言われても仕方ありません。

オマージュ作品で受賞した例には、第58回江戸川乱歩賞を受賞した『カラマーゾフの妹』(高野史緒)があります。
タイトルでお分かりですね、ドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』のオマージュ作品です。

オマージュかどうかは、まず盗作では絶対なく、パロディーのようなブラックさもなく、敬意があって、なおかつ、下敷きにした作品を超えている、または全く別のテーマを見出していること。そうした作品であれば問題ありません。
ただし、これを成功させられるのは相当の実力者です。 よほどの自信作でない限り、応募作品ではやらないほうが賢明です。

協力:公益社団法人著作権情報センター

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