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公募界に激震、オール讀物歴史時代小説新人賞が休止! 応募予定者はどこを目指すべき!?

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文藝春秋は、「オール讀物」(10月22日発売)誌上で、同社が主催する「オール讀物新人賞」を休止すると発表した。オール讀物新人賞は昭和27年(1952年)創設の短編新人賞で、2021年の第101回からオール讀物歴史時代小説新人賞に名称を変え、歴史時代小説に特化した新人賞として2025年の第105回まで続いていた。
 

70余年の歴史の中で、藤沢周平、山本一力らを輩出

オール讀物新人賞は、当初はオール新人杯の名称で創設されたが、1960年からオール讀物新人賞と名称を変更した。その後、何度か大きな転機があったが、その最初が1962年、オール讀物推理小説新人賞を創設し、ミステリーを独立させたこと。
しかし、両賞は2008年には再び統合されてオール讀物新人賞となり、さらに2021年、オール讀物歴史時代小説新人賞と名称を変え、募集内容はそのまま、2025年はオール讀物新人賞の名称に戻していた。

歴代受賞者の中には著名な作家がたくさんいる。主だったところをピックアップしてみよう。

松本清張    第1回佳作第一席「啾啾吟」
永井路子    第3回佳作「下剋上」
伊藤桂一    第5回佳作「最後の戦闘機」
佐木隆三    第17回佳作「外道風」
西村寿行    第35回佳作「犬鷲――廃屋に光る眼」
藤沢周平    第38回「溟い海」
難波利三    第40回「地虫」
佐々木譲    第55回「鉄騎兵、跳んだ」
宇江佐真理  第75回「幻の声」
山本一力    第77回「蒼龍」
桜木紫乃    第82回「雪虫」
乾ルカ     第86回「夏光」
奥山景布子  第87回「平家蟹異聞」
坂井希久子  第88回「虫のいどころ」
柚木麻子    第88回「フォーゲットミー、ノットブルー」
木下昌輝    第92回「宇喜多の捨て嫁」

ざっと挙げただけでもこれだけのメンバーがおり、それだけに作家志望者には憧れの新人賞だった。
特に最近では少ない短編新人賞であり、長編はハードルが高いが短編ならという向きにも人気で、前回の第104回も応募数783編を集めていた。

 

応募を予定していた人は、ノンジャンルエンタメの賞にシフト!

ただ、短編新人賞の場合、受賞後に商業レベルの短編を5~6編書かないと単行本デビューができないため、そこでつまずく新人もいる。ここが短編新人賞のネックでもあっただろう。

主催の文藝春秋としても、プロの登竜門としての文学賞は松本清張賞(日本文学振興会主催)を持っているから、受け皿が全くなくなるわけではなく、いったん休止し、刷新するなり新たに文学賞を立ち上げるなどしても支障はない。

応募者はどうだろう。毎回、オール讀物歴史時代小説新人賞を目指して応募を続けてきた人にはつらいが、なくなってしまった以上は、代替公募を探さないといけない。
幸い、ノンジャンル(エンタメ小説ならジャンルは問わない)という文学賞は歴史時代小説でも応募できるので、そうした文学賞に鞍替えすればいい。

具体的には、松本清張賞、小説すばる新人賞、小説現代長編新人賞、小説野性時代新人賞、角川春樹小説賞などがあり、松本清張賞は葉室麟、岩井三四二、梶よう子、山口恵以子といった歴史時代小説家を輩出し、小説野性時代新人賞も昨年は『海賊忍者』(受賞者は諏訪宗篤)を選んでいるから、歴史時代小説を書かれている方は狙える。

問題はどの文学賞も長編という点だが、短編が書けるのであれば、連作短編という形にすれば応募できるだろう。
オール讀物新人賞歴代受賞者に名を刻めなくなったのは残念だが、栄枯盛衰は文学賞も例外ではないから潔く諦め、自分に合った賞を探してまた書き続けていくしかない。