絵本を作ろう!⑤絵本づくりを始める人へ(酒巻恵さんインタビュー)


絵本作家になるには、どんな道のりがあるのだろうか。作品づくりで大切にしていることや工夫を、絵本作家の酒巻恵さんに伺った。
イラストとは違う絵本づくりの魅力
——なぜ絵本作家を目指し始めたのですか。
とあるギャラリーショップの企画展で手製の絵本を作ったのがきっかけです。イラストとは違い、一冊まるまる世界を作っていくことが楽しくて、出版を目指したいと思いました。
——絵本づくりとイラスト制作の違いはありますか。
イラストは依頼者の意向に沿うように制作します。絵本制作では、編集者の意見を取り入れつつ、自分のやりたいことの芯は揺らがないよう大切にしています。
作品を見てもらい、気づくことも
——絵本作家を目指すにあたってどんな努力をされましたか。
絵本作家を目指し始めた当初は独学で制作し、いろいろな絵本コンテストに応募していました。ですがなかなか結果が出ず。絵本の塾やワークショップに参加して作品の講評をいただいたり、絵本をたくさん読んだり、保育園の見学をさせていただくうちに、「なんだか、かわいいもの」だけではない絵本の世界の深さに気づいたんです。塾に行くうちに、絵本づくりの悩みも解消されていきました。
子どもの頃の自分が見て楽しいかどうか
——絵本づくりで気をつけていることはありますか。
絵本はイラストと違いページをめくっていくものなので、時間の流れや構図の変化を意識しています。たとえば構図ならカメラアングルをバーン! とアップにしたり、引いたり。あとは色味に変化を持たせています。
——色味にもこだわりが?
読み聞かせをするとき、はっきりした色だと子どもたちが見やすいんです。作った絵本を、子どもの頃の自分が見て楽しめるかどうかも意識しています。
Q&A
——ストーリーのアイデアが出ません!
私はひとつのテーマから発展させてふくらませることが多いです。あとは、意外なものを組み合わせてストーリーを作ることも。「くだものとおばけ」や「おしりを飛ばす」とか。それぞれが普通のことでも組み合わせると面白くなりますよ。
——どうしても絵本作家になりたいです!
焦らずいろんなことを吸収してみてください。一人で悩むと行き詰まっちゃうので、学校に行くのも手かもしれません。絵本づくりは時間がかかります。気長に目指していくのがいいと思いますよ。自分が楽しむ気持ちが大事です。
絵や言葉のリズムが楽しい酒巻さんの絵本
『ラッパをぷぅー!』 (酒巻恵著・フレーベル館・400 円)
音が出ないラッパから、詰まっていたものが次々と飛び出す! 次は何が出てくるのか、想像力がふくらみます。
酒巻恵
絵本作家・イラストレーター。2003年に大阪芸術大学デザイン学科卒業。子ども向けの本やグッズのイラスト制作を中心に活動開始。16年『くだものおばけやしき』で絵本作家デビュー。
※本記事は2021年9月号に掲載した記事を再掲載したものです。