公募/コンテスト/コンペ情報なら「Koubo」

【作家志望必見】児童文庫とは?人気の理由と4大レーベルの全貌

タグ
童話・児童文学
バックナンバー

子ども向けの小説を書き下ろしの文庫サイズで刊行する児童文庫。今、この児童文庫が人気で、各社とも新人発掘に注力している。そこで今回は、この児童文庫の小説賞を射止めるコツを解説していく。

児童文庫とはこんなレーベル

児童向けの文庫レーベル、児童文庫は朝の読書運動を機に注目され、出版不況にあって売り上げを伸ばしている。この児童文庫について解説しよう。

児童文庫は、自社が保有する名作文学などを廉価版の文庫に落としたことからこの名がある。

最古のレーベルは1950年に創刊された岩波少年文庫。ついで75年に偕成社文庫、79年にフォア文庫、そして80年に青い鳥文庫が創刊される。

青い鳥文庫も当初は名作の廉価版を発行していたが、82年、書き下ろしを刊行する。それが福永令三『クレヨン王国の花ウサギ』。これが好評だったことから、以降、書き下ろしが推進される。

この流れの中で、94年に、はやみねかおる『名探偵夢水清志郎』、95年に松原秀行『パスワード』が爆発的にヒットする。

さらに98〜03年、児童書の世界に転機が訪れる。それが朝の読書運動。始業前に10〜15分、読書をするが、好きな本を読んでいいということで、子どもたちは自発的に書店や図書室に行った。そのとき、子どもたちの目に留まったのが児童文庫というわけだ。

この活況を受けて、09年に角川つばさ文庫、小学館ジュニア文庫、11年に集英社みらい文庫が創刊される。また、今年3月にはポプラキミノベルが創刊される。各社が書き下ろしやノベライズに力を入れ、書店の棚はますますにぎやかになりそうだ。

児童文庫は小・中学生向けだが、メインの読者は小学校高学年。大別すると児童書に含まれるが、エンタメに振りきっているという点で児童文学とは異なる。

また、中・高校生を読者対象とするライトノベルとも違う。成長期に2歳違うと行動範囲や興味、関心がかなり変わり、これが作品の内容に反映する。

児童文庫を含む児童書の売り上げは、出版不況といわれる現在にあって、子どもの人口が減っているにもかかわらず伸びている。

児童書にはロングセラーが多く、毎年一定の数が売れる。そこにヒット作が加わることで売り上げが積み重なっていく。これが児童書の売り上げが伸びている理由だ。

書籍全体の売り上げから見ると7%と市場規模は大きくはないが、安定して需要のある分野ということで各社とも力を入れている。

スクリーンショット 2025-07-04 151549.png

子ども人口は減少傾向にあるが、児童書の売り上げはわずかながら増加。全世代で小学生が一番本を読んでいる。

スクリーンショット 2025-07-04 151517.png

児童文庫は親が読ませるのではなく、自分で読みたいと思って選ぶ本。子どもが初めて読む小説という位置づけ。

小説賞を持つ4大レーベルを比べてみた!

スクリーンショット 2025-07-04 152305.png

子どもには一つ気に入るとずっとその作品を読む傾向があり、それゆえ児童文庫では単発のロングセラーは少なく、人気作はすべてシリーズ化されたもの。

そうした人気シリーズには映画化、アニメ化される作品もある。 

18年は令丈ヒロ子『若おかみは小学生!』が映画化。また、児童文庫ではないが、トロルの児童書『おしりたんてい』がNHKでアニメ化されている。

昨年の20年は、これも児童文庫ではなく児童書になるが、廣嶋玲子『ふしぎ駄菓子屋 銭天堂』がNHKでアニメ化されている。

そして、今年、はやみねかおる『都会のトム&ソーヤ』が劇場公開される。

映画化、アニメ化されると相乗効果で本も売れ、児童文庫、児童書の世界もますます活況となる。

※本記事は2021年4月号に掲載した記事を再掲載したものです。