文芸公募ニュース 9.13更新 文芸トレンド
文学賞に「郵送不可」の波
大手出版社が主催する文学賞は、「WEB応募も郵送も可」という規定のものが大半を占める。
インターネットが普及し始めたのは、Windows95が発売された1995年だが、この時点での普及率は3.3%程度で、まだまだ郵送応募が優位だった。
その後、Windows98の発売、Googleが日本語検索サービス開始などを経て、2006年には普及率は72.6%になった。
結果、郵送応募とともに、WEB応募もできるように整備されたが、使い始めてみるとWEB応募はプリントして封入、投函という手間もなく、料金もかからず、応募締切も当日23:59まで伸ばせるということで応募者が増え、今や全体の9割以上を占める。
主催者にとっても管理が楽で、データなので加工も複写も簡単だ。
という事情があるせいか、今年からWEB限定(郵送での応募不可)に規定を変更する文学賞が4件あった。
第49回すばる文学賞 今回、2024年8月1からWEB限定
第38回小説すばる新人賞 今回からWEB限定
集英社ノベル大賞 今回からWEB限定
第14回ポプラ社小説新人賞 今回からWEB限定
ざっくり言うと、集英社とポプラ社がWEB限定になった形だ。
では、ほかにはWEB限定の文学賞はあるか調べてみた。
第32回松本清張賞 前回の第31回からWEB限定
オール讀物歴史時代小説新人賞 2022年の101回からWEB限定
メフィスト賞 2021年6月からWEB限定
女による女のためのR-18文学賞 2001年創設当時からWEB限定
日経・星新一賞 2013年の第1回からWEB限定
これを見ると、WEB限定にする文学賞はずっと前からそうだったが、ここ数年でWEB限定にシフトする文学賞が徐々に増えてきたと言える。
10月1日から郵便料金改定があるので、来年あたりは……。
Bunkamuraドゥマゴ文学賞、決まる!
Bunkamuraドゥマゴ文学賞は、Bunkamura創立1周年の1990年に創設。既刊を対象に、毎年かわる「ひとりの選考委員」によって受賞作が選ばれる文学賞。
今年の選考委員は、桐野夏生さん。受賞作は下記のように決まった。
受賞作
第34回〔2024年度〕
Bunkamuraドゥマゴ文学賞 受賞作品
高野秀行『イラク水滸伝』(2023年7月 文藝春秋刊)
文芸公募ニュースバックナンバー
2024.9.13更新 発表:第12回ハヤカワSFコンテスト、ほか
2024.8.23更新 発表:第14回アガサ・クリスティー賞、ほか
2024.8.9更新 発表:第3回警察小説新人賞、第36回労働者文学賞2024、ほか
2024.7.26更新 発表:第15回創元SF短編賞、第7回田畑実戯曲賞、ほか
2024.7.12更新 発表:第45回小説推理新人賞、第9回カクヨムWEB小説コンテスト、ほか
2024.6.28更新 発表:メフィスト賞2024年下半期座談会、第14回集英社みらい文庫大賞、ほか
2024.6.14更新 発表:第44回横溝正史賞ミステリ&ホラー大賞、第31回松本清張賞、ほか
2024.5.24更新 発表:第70回江戸川乱歩賞、第1回有吉佐和子文学賞、ほか
2024.5.10更新 発表:第23回女による女のためのR-18文学賞、第40回太宰治賞、ほか
2024.4.26更新 発表:第11回日経・星新一賞、第67回群像新人文学賞、ほか
2024.4.12更新 発表:第18回小説現代長編新人賞、第129回文學界新人賞、ほか