高橋源一郎の小説指南「小説でもどうぞ」第8回「うそ」結果発表
1951年、広島県生まれ。81年『さようなら、ギャングたち』でデビュー。
小説、翻訳、評論など著書多数。日本のポストモダン文学を代表する作家。
■第11回 [ 別れ ]
~ 6/30(消印有効)
■第12回 [ 休暇 ]
7/1 ~ 7/31(消印有効)
※募集期間外の応募は無効になります。
うそ
いつもより、おもしろい作品が多かったような気がするのは、課題が「うそ」だからなのかも。やっぱり、小説は「うそ」が得意!
横地加南子
最優秀賞は、横地加南子さんの「言えない」に決定。中身は、読んでいただければ、おわかりと思います。「えっ、ずるい!」と思われる読者もいるかも。あるいは、「これ、小説なの?」と首をひねる方も。いいじゃないですか。このアイデアに、ぼくはヤラれました。「ウソ」をここまで直接に書くやり方があったとは。小説は、なんでもありなのでね。自由に書いていて、グッド!
秋あきら
横地加南子さんの「言えない」とどっちを選ぶかで、ほんとうに悩みました。
秋あきらさんの「佐々木さんの猫」は、ほんとうに上手な小説だ。「僕」は「三年先輩の三十五歳」の「佐々木さん」のことが好きだ。その「佐々木さん」の様子が最近変なのだ。どうやら恋人と別れたという噂も。そんな佐々木さんが「パソコンの背景にしている写真の猫が動きだした」といいだした。「見てみたい」と「僕」がいうと、「今晩にでもどう?」と佐々木さん。やったあ! これはお誘いに間違いない。でも、なぜ、そんな「うそ」をついてまで、「僕」を呼びたいんだろう。それは……。最後はびっくり、どっきり。完璧です。
佐藤清香
佐藤清香さんの「淡いブルーのトランクス」は、不思議で何だか怖い作品。「わたし」は、今日は「旦那様のパンツを西友に買い」にいく。「淡いブルーのトランクス」を買って、帰宅。洗濯して、干す。翌日は子ども用の服を買って、洗濯して干す。我が家のベランダには、大量の洗濯物が干してある。小さな子供とお父さん、「お母さん」が仲良く暮らしているのだから。我が家のベランダの洗濯物を見るため、わざわざ「わたし」は電車に乗る。そして……「わたし」はなにを見たでしょう。内緒です。想像してください。ぼくは怖かったです。
蒼井征一
蒼井征一さんの「落選日和」。「僕」は、作家志望の若者。「新人賞の一次選考結果」が載っている文芸誌を書店で立ち読み。ああ、ダメだった。彼女にどう言ったらいいのか。「今度こそ絶対に入選するから」と言い続けて五年目なのだ。また「うそ」をついてしまった。そして、「僕」は帰宅する。家では、彼女が「僕」の大好物の「麻婆豆腐」を作って待っていてくれた。どうしよう。どんな「うそ」をつけばいいのか。ぼくははらはらしながら読みました。そして、泣きました。どんな「うそ」が待っていたのかは内緒。
伊吹せきと
伊吹せきとさんの「親密な夫婦」の主人公は、「余命半年」の「私」。「肺がんでステージ四」なのである。今年も、自宅で盛大な誕生日パーティ、でもそれも最後だろう。実は、「私」には秘密がある。飛行機事故にあって顔に大きな傷がある。ほんとうは、その妻の夫ではなく別人なのだ。でも、そのことをずっと言えなかった。ああ、真実を言えず、死んでゆくのか。そんな「私」は、ついに死の床へ。薄れゆく記憶の下、ベッドの横の妻とその妹の会話が聞こえてくる。なんと妻もまた……。こう来るとは!
島本貴広
島本貴広さんの「ほんとうのこと」は、ある家に泥棒に入った男の物語。侵入した男は、老婆と鉢合わせしてびっくり。たいへんだ、どうしよう! そのとき老婆は「雅紀? 雅紀じゃないか」。どうやら、老婆は孫と勘違いしているらしい。というか、目もほとんど見えないようだ。そして「泥棒」は、その老婆の孫のふりをして、なんとか時を稼ごうとする。脱出の機会をうかがうのだ。料理をつくり、寝床まで提供する老婆。そんな老婆に、「泥棒」は逆らえない。やがて……。うーん、この作品も結末がちょっとシンプルすぎたかも。
貘太郎
貘太郎さんの「鈍痛」の主人公「ちひろ」は、高齢者のリハビリ施設で働いている。リハビリ中の「スエさん」は「みんな、ウチを嫌っている……嘘しか言えへんし」と文句を言う。彼女は、治っても自宅に戻れない。家族の意向で、最後には別の施設に入ることになっているからだ。でも、スエさんは自宅のある舞鶴に戻りたい。そんな「スエさん」に、「電車が雪で止まっている」から戻れない、と「ちひろ」はウソをつきつづけるのだ。なんだか悲しい。そして、そのウソは……。このお話も最後がちょっと物足りないかな。惜しかった。
齊藤想
齊藤想さんの「ウソの世界」では、「六つ下の弟」が「だれでも分かるようなウソをつく」。「小学校の遠足で動物園のヤギに服を食べられて裸になった」とか。それだけならまだいい。「ヤギの話のときは本当に裸になって帰宅してくる」始末なのだ。家族がどんなにたしなめても、弟はいうことを聞かない。どんどんウソは大きく、ひどくなる。それは、「大きなことをなしとげるためには、ウソが必要」だからだ。えっ? その「大きなこと」って何? すごくワクワクするお話だったのに、結末がちょっと……。
■第11回 [ 別れ ]
卒業式では仲よかった友だちと別れる。大好きな恋人とも別れなきゃいけないことがある。悲しいのは、大切な人が二度と帰らぬ遠いところに行く別れ。もの、人、なんにでも「別れ」はつきものですね。
■第12回 [ 休暇 ]ゴールデンウィークは終わりましたが、仕事や勉強ばかりじゃいけません。たまには休まなくちゃね。
■第11回 [ 別れ ]
~ 6/30(消印有効)
■第12回 [ 休暇 ]
7/1 ~ 7/31(消印有効)
A4判400字詰換算5枚厳守。ワープロ原稿可。
用紙は横使い、文字は縦書き。
郵送の場合は、原稿のほか、コピー1部を同封。作品には表紙をつけ(枚数外)、表紙にはタイトル、氏名を明記。別紙に〒住所、氏名(ペンネームの場合は本名も)、電話番号、メールアドレスを明記し、原稿と一緒にホッチキスで右上を綴じる。ノンブル(ページ番号)をふること。コピー原稿には別紙は不要。作品は折らないこと。作品の返却は不可。
※WEB応募の場合も作品には表紙をつけ、タイトルと氏名(ペンネームの場合はペンネームのみ)を記入すること。
未発表オリジナル作品とし、最優秀賞作品の著作権は公募ガイド社に帰属。
応募者には、弊社から公募やイベントに関する情報をお知らせする場合があります。
第11回・9/15、公募ガイドONLINE上
第12回・10/15、公募ガイドONLINE上
最優秀賞1編=Amazonギフト券1万円分
佳作7編=記念品
選外佳作=WEB掲載
※最優秀賞の商品券はAmazonギフト券に変更となりました。
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〒105-8475(住所不要) 公募ガイド編集部
「第〇回小説でもどうぞ」係