第38回 高橋源一郎「小説でもどうぞ」 課題「サプライズ!」結果と講評
1951年、広島県生まれ。81年『さようなら、ギャングたち』でデビュー。
小説、翻訳、評論など著書多数。日本のポストモダン文学を代表する作家。
■第41回 [ ときめき ]
12/1~12/31(消印有効)
■第42回 [ 手紙 ]
1/1~1/31(消印有効)
※募集期間外の応募は無効になります。
サプライズ!
今回のテーマ、「サプライズ!」はちょっと難しかったかもしれません。どちらかというと、「どんでん返し」というテーマにした方がぴったりという作品が多かったですね。
受賞作は、金銭亀さんの「リング」。よそ行きの「パリっとしたスーツ」を着て「おれ」はレストランに向かう。二年付き合った彼女に渡すものがあるのだ。もちろん彼女のための「リング」だ。そして、その瞬間がやって来る。「おれ」は「手を出してくれないか」と彼女に言う。すると彼女は手を出す。「おれ」はリング……じゃなく手錠をかけた。「君をロマンス詐欺の容疑で逮捕する」。なんと「おれ」は捜査官だったのだ。だが、「サプライズ」はこの後にあった。実は彼女は……これにはびっくりしました!
白浜釘之さんの「サプライズパーティー」は変わったお話だ。売れっ子タレントだった「俺」は、女性関係で問題を起こし、大舞台からすっかり離れていた。仕方なく、小さな仕事から復帰をはかる「俺」。今日は結婚式のウェディングケーキの中に隠れて、入刀の際、「サプライズ登場」する予定だった。ところがなかなか声がかからない。きっと「俺」も知らない仕掛けがあるのだろう。やがてサイレンの音が響き、スマートフォンが警報を鳴らす、実は……。「サプライズ」はパーティーの方じゃなかったのだ。なるほど!
柴田歩兵さんの「R博士の絶叫」の舞台は二〇四八年。R博士はタイムマシンを完成させ、今日は完成披露パーティーだ。博士のスピーチ後、「サプライズゲスト」が登場。演出のスモークの中から登場したのは、共同研究者で三年前に死んだ兄だった。そのタイムマシンを使って死者を連れ戻したのだ。衝撃を受けるR博士。兄とは犬猿の中だったのだ。さらにもうひとりのゲストが登場。それは死んだ母。極めつけの毒親だったのである。こんなサプライズはゴメンだ。かくしてR博士がとった行動は……わかるよ、その気持ち。
柚みいこさんの「ハッピーバースディ」は、「あなたの誕生日」をサプライズでお祝いするため、クローゼットに隠れて待つ「わたし」のお話。なんか楽しそう。やがて「あなた」は帰ってくる。しかし、ひとりではない。女の声が。しかも、もめている。なぜ? どうしよう。きっと、最近「あなた」を追い掛けているストーカーに違いない。やがて、争う声。クローゼットから這い出す「わたし」。すると女が倒れ、息絶えているではないか。ここからいきなり怖い小説に。いや面白かったが、少々、展開に無理があるのでは。
西川友美さんの「サプライズ!神社」は、ツイてない「男」のお話だ。仕事してはミス、彼女には振られ、財布も落した。預金は底をつき、就職の面接にも落ちた。もうダメだ。そんな「男」は、歩きながら「鳥居」に気づく。なけなしの一円玉を賽銭箱に入れ、鈴を鳴らし、柏手を打つ。とたんに奇跡が。一匹の狐が現れ「神様」と名乗り「百万人目の参拝者」である「男」の願いをなんでも聞いてくれるというのである。宝くじを買った男は見事に一等をゲット。そして……なるほど一捻りしたオチだがわかりにくいの難点か。
林庆次さんの「自爆葬」の主人公は「親爺の訃報」を仕事場で聞く。親子の縁を切ってから二十年、主人公は最後の挨拶をするため自宅に戻る。すると、とんでもないことになっていた。一財産を築いた「親爺」は、大邸宅の巨大な居間に横たわり、読経や焼香が続いていた。式を取り仕切る葬儀社は、近所からあらゆる宗派の僧侶ばかりか、キリスト教の教会にも声をかけていたので、屋敷はさながら「宗教フェス」の趣になっていたのだ。やがて最後の瞬間がやって来た。そこで起こったのは……うーん、サプライズかなこれ。
藤白ゆきさんの「窮極のサプライズ」。あるとき、円盤から宇宙人が降り立ち、「万能翻訳機」のようなものを使って世界中の人びとにこんなメッセージを発する動画が拡散された。「一カ月後にこの星を滅ぼすと」。最初は、「ディープフェイク動画」だと笑っていた人びとも、やがてそれがほんものの動画であることに気づくのである。どうやっても宇宙人の科学力にはかなわず、このままで滅びてしまう! そして一カ月後、約束通り宇宙人はやって来る。そして……このオチ、確かにサプライズだけれども、単純すぎでは?
紅帽子さんの「モナリザ・サプライズ」は、ある日突然「顔がモナリザになっていた……アラフォーで万年平社員」の男の物語。主人公の「俺」は、当然びっくり。朝起きたら毒虫になっていたカフカの『変身』の主人公より驚いたかも。とにかく「俺」はコンビニでマスクを買って顔につける。さて、どうすればいいのか。いくら考えてもわからない。読者のみなさんもワクワクしませんか。この話、どうなるのかと。翌朝、「俺」はマスクをはずしモナリザの顔のまま出社する。すると……ちょっとこの終わり方はどうかなあ。
■第41回 [ ときめき ]
みなさんは、どんな時、なにに「ときめき」ますか。素敵な誰かに? いや人間じゃなくて他の生きもの、いや場所? いやいや、もっとまったく違うなにかに? みなさんの「ときめき」を教えてください。
■第42回 [ 手紙 ]「手紙」は英語では「メール」。でも、日本語の「メール」はネットで使うもの。ややこしいですね。今回は思い切り、日本語の「手紙」です。ご自由にお書きください。
■第41回 [ ときめき ]
12/1~12/31(消印有効)
■第42回 [ 手紙 ]
1/1~1/31(消印有効)
・2000字程度。データ原稿可。
・空白を含めず、文字カウントが2000字程度。
(1割の増減まで許容)
・タイトル、作者名は文字数に含みません。
・手書きの場合は、400字詰原稿用紙5枚程度。
・書式は自由。用紙サイズはA4判。縦書き、横書きは自由。ただし、選考は縦書き、発表は横書きで行う。
・作品冒頭にタイトル、本名かペンネームのどちらかを明記。
・作品にはノンブル(ページ番号)をつけること。
wordで書かれる方は、40字×30行を推奨します。
ご自分で設定してもかまいませんが、こちらからもフォーマットがダウンロードできます。
・応募の際にはメールアドレスを記入してください。
・入選作品は趣旨を変えない範囲で加筆修正することがあります。
・応募者には弊社から公募やイベントに関する情報をお知らせする場合があります。
〔WEB応募の場合〕
・所定の応募フォームから応募。作品にもタイトルと氏名を明記。
・未記入の場合は「タイトルなし」「名前なし」で選考されます。
〔郵送の場合〕
・別紙に〒住所、氏名(ペンネームの場合は本名も)、電話番号、メールアドレスを明記し、作品末尾に並べ、ホッチキスで作品ごと右上を綴じる(ゼムクリップ不可)。
・作品は元原稿のほか、コピーを1部提出。
・コピー原稿には別紙(住所等を書いた用紙)は添えない。
・作品は封筒に裸で入れる(過剰包装不要)。
・作品は折らない。
・作品の返却は不可。
未発表オリジナル作品に限る。
応募点数1人3編以内(同工異曲は不可)。
AIを使用した作品は不可。
入選作品の著作権は公募ガイド社に帰属。
第41回 2025/3/1、Koubo上
第42回 2025/4/1、Koubo上
最優秀賞1編=Amazonギフト券1万円分
佳作7編=記念品
選外佳作=WEB掲載
※発表月の翌月初頃に記念品を発送いたします。
配送の遅れ等により時期が前後する場合がございます。
● WEB応募
上記応募フォームから応募。
● 郵送で応募
〒105-8475(住所不要) 公募ガイド編集部
「第〇回小説でもどうぞ」係
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