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第37回 高橋源一郎「小説でもどうぞ」 課題「すごい」結果と講評 

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結果発表
イラスト:福士陽香
■選考委員/高橋源一郎

1951年、広島県生まれ。81年『さようなら、ギャングたち』でデビュー。
小説、翻訳、評論など著書多数。日本のポストモダン文学を代表する作家。

募集中のテーマ

■第40回 [ 演技 ] 
11/1~11/30(消印有効)

■第41回 [ ときめき ] 
12/1~12/31(消印有効)

※募集期間外の応募は無効になります。

第37回結果発表
課 題

すごい

今回のテーマは「すごい」。そして、投稿を読んで思わず「すごい!」。面白い作品ばかりで、こういう回は、選考をさせていただいてほんとうに良かった、と思います!

最優秀賞

 最優秀作は、十六夜博士の「すごくかわいい」。「お互い売り言葉に買い言葉」でどうしようもなくなった「俺」と「カノコ」。「俺」は「すごい」しか言わないし、「カノコ」は「かわいい」しか言わない。どちらもボキャブラリーが貧困なのが原因なのか。でも「かわいい」と言う「カノコ」が好きで結婚したのだが。そこへ親友の「タイチ」が現れる。生まれたばかりの小犬を持って。「かわいい」という「俺」。背後から「カノコ」が「かわいいとしか言えないの?」。そして……「すごい」の使い方、最高です。

佳作

 あたまぎ香子さんの「すごい○○」は、コンビニでのお話。新人の「グエン・ランさん」は「ベトナム人で東信大学に留学」、頭が良くて日本語もペラペラ。「俺」が「すごいおいしい」というと、それは日本語としておかしい「すごく美味しい」か「とても美味しい」と言わねばならないと注意するのだ。そんな「グエン・ランさん」にしごかれ、「俺」の日本語スキルは急上昇。職場での評価も上がった。こうなったら付き合ってもらうしかない、と一気に告白へ。そしたら彼女は……このオチにはやられました。惜しい次点です。


 さめしまさんの「すごそうですごくない少しすごい特技」。宇宙人に拉致された「私」は「拷問」を受けている。それは「すごそうですごくない少しすごい特技を披露」しろと迫られる「拷問」だ。だから、「私」は考えていろいろやってみる。「指の第一関節を曲げてキープできる。しかも全ての指だ」とか。でも、どんな特技をやっても宇宙人から「合格」判定をもらえないのである。けれど、あるきっかけで地球人はみんな「すごそうですごくない少しすごい特技」を持っていることが判明するのだ。あれなの? いいね。


 北島雅弘さんの「父母の結婚」は、「死んだ父がちょくちょく顔を出すようになった」という一節で始まる。ワクワクしますね。その父は生きているうちは酒飲みでギャンブル好き、とんでもない人間だった。母親にも愛想をつかされていて、死んで「向こうであの人の顔を見たら私はすぐさま逃げ出すよ」と言われていたのである。その母も去年亡くなったのだ。いったいなぜ「父」は現れるようになったのか。その秘密は……オチもいいです。でも、「すごい」というテーマにあまり合ってないのではないでしょうか。


 万巻千里さんの「ぜんぜんすごくない!」は、とある島の物語。島の高校の水泳部に所属する「私」と中二の「伸子」は、誰もいない「小さなビーチ」にいる。「伸子」は運動は苦手。従弟の小学五年生の「崇」も一緒だ。事件が起こった。「崇」が溺れたのだ。慌てて助けを呼びに走る「私」。でも、「崇」は溺れたのではなく、足がつっただけだった。そして泳げないはずだった「伸子」が助けに行くなんて。「すごい」。でも、このお話のオチは別のところにあったのだ。近くで三人を見ていたおばさんが言う……。えええっ? そうだったのか!!


 渋川九里さんの「生存戦略」は、とあるオフィスの物語。「白石敦子」の前に現れたのは、ようやく決まった派遣社員「深山あかり」。第一印象は「イタい子」。というのも、仕事を始めてみると、なにかにつけて「すごぉい」の連続。恰好も言葉も甘ったるい、やる気のなさそうな女の子。ところが。そのうち、「深山あかり」が実はとんでもなく有能な女性であることがわかってくる。なのにいったいなぜ「すごぉい」なのか。そして、最後に明かされる、驚くべき秘密とは。いや、なんとなく予想はつくけど面白かったです。


 昂機さんの「『すごい』禁止令」は、「お兄ちゃん、それやめて」の一言から始まる。「高校生の妹」が「俺」に言ったのだ。「俺」の口癖の「すごい」についてだ。確かに、「俺」は何かにつけて「すごい」としか言わない。というわけで、「すごい」をしゃべらないようにすると、それはもう「生きづらい日々」の連続になったのである。わかるよねえ。他の言葉で言い換えるんだけど、その手間がもうたいへん。その結果どうなったかというと……。確かに面白い結末だけれど、あまりにシュールすぎちゃったかも。ほんとに惜しい。


 土刀馬さんの「トイレのおばさん」。主人公の「私」は「自殺の名所」で最後の煙草を吸い終わったところだ。さあ行こうと歩いていると公衆トイレがあった。真夜中なのに「清掃中」の札がかけてある。すると、いきなり現れた「小柄なおばさん」に「あんたもここに死にに来たのかい?」と図星をさされるのである。それから始まる謎めいたおばさんのお説教。なんだよ、この人? やがて、そのおばさんの通報を聞きつけた巡査に取り押さえれられ「私」は自殺を断念。実は「おばさん」の正体とは。ちょっとオチがねえ……。

応募要項
課 題

■第40回 [ 演技 ]

 もちろん役者は演技します。演技の専門家だ。けれども、我々一般人だって、演技をすることはあります。というか、すべてが素のまま、ありのままなんて人いますかね。すべて「演技」みたいな人はいるとしても。

■第41回 [ ときめき ]

 みなさんは、どんな時、なにに「ときめき」ますか。素敵な誰かに? いや人間じゃなくて他の生きもの、いや場所? いやいや、もっとまったく違うなにかに? みなさんの「ときめき」を教えてください。

締 切

■第40回 [ 演技 ] 
11/1~11/30(消印有効)
■第41回 [ ときめき ] 
12/1~12/31(消印有効)

字数

・2000字程度。データ原稿可。
・空白を含めず、文字カウントが2000字程度。
(1割の増減まで許容)
・タイトル、作者名は文字数に含みません。
・手書きの場合は、400字詰原稿用紙5枚程度。

書式

・書式は自由。用紙サイズはA4判。縦書き、横書きは自由。ただし、選考は縦書き、発表は横書きで行う。
・作品冒頭にタイトル、本名かペンネームのどちらかを明記。
・作品にはノンブル(ページ番号)をつけること。

wordで書かれる方は、40字×30行を推奨します。
ご自分で設定してもかまいませんが、こちらからもフォーマットがダウンロードできます。

その他

・応募の際にはメールアドレスを記入してください。
・入選作品は趣旨を変えない範囲で加筆修正することがあります。
・応募者には弊社から公募やイベントに関する情報をお知らせする場合があります。

応募方法

〔WEB応募の場合〕
・所定の応募フォームから応募。作品にもタイトルと氏名を明記。
・未記入の場合は「タイトルなし」「名前なし」で選考されます。

〔郵送の場合〕
・別紙に〒住所、氏名(ペンネームの場合は本名も)、電話番号、メールアドレスを明記し、作品末尾に並べ、ホッチキスで作品ごと右上を綴じる(ゼムクリップ不可)。
・作品は元原稿のほか、コピーを1部提出。
・コピー原稿には別紙(住所等を書いた用紙)は添えない。
・作品は封筒に裸で入れる(過剰包装不要)。
・作品は折らない。
・作品の返却は不可。

応募条件

未発表オリジナル作品に限る。
応募点数1人3編以内(同工異曲は不可)。
AIを使用した作品は不可。
入選作品の著作権は公募ガイド社に帰属。

発 表

第40回 2025/2/1、Koubo上
第41回 2025/3/1、Koubo上

最優秀賞1編=Amazonギフト券1万円分
佳作7編=記念品
選外佳作=WEB掲載
※発表月の翌月初頃に記念品を発送いたします。
配送の遅れ等により時期が前後する場合がございます。

応募先

● WEB応募
上記応募フォームから応募。
● 郵送で応募
〒105-8475(住所不要) 公募ガイド編集部
「第〇回小説でもどうぞ」係

お問い合わせ先

ten@koubo.co.jp


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「小説でもどうぞ」の応募作品を添削します。

受講料 5,500円

https://school.koubo.co.jp/news/information/entry-8069/