第30回 高橋源一郎「小説でもどうぞ」 課題「トリック」結果と講評
1951年、広島県生まれ。81年『さようなら、ギャングたち』でデビュー。
小説、翻訳、評論など著書多数。日本のポストモダン文学を代表する作家。
■第33回 [ 不適切 ]
4/1~4/30(消印有効)
■第34回 [ 最後 ]
5/1~5/31(消印有効)
※募集期間外の応募は無効になります。
トリック
テーマが「トリック」だっただけに、ネタ(?)がかぶってしまった。それが何かは、本編をどうぞ。同じアイデアで、どれだけ違ったものを考え、作れるかの勝負だった。
最優秀賞は鹿石八千代さんの「アナは名探偵」。母親のエマは愛娘のアナに「オオカミ少年」のお話をしています。「ウソをつくとコワイのね……」と
優子さんの「叙述トリック」は、タイトル通り、「叙述トリック」のお話。注意して読まなきゃなりません。出てくるのは「早紀」「優菜」「美月」の三人の女の子。ずっと恋バナをしています。ところが、これは「大人の女の恋バナ」に見せかけた「小学生の会話……という「叙述トリック」について「俺」と「安達」は話をしている。よくあるよな、こういうの、って。ふたりとも文学サークルの同士なのだ……というのも「叙述トリック」で、実は……。二段、三段重ねのトリックご苦労さま。面白かったですよ。
柚みいこさんの「種も仕掛けもございません」、主人公の「信也」の「父親」は有名な奇術師だ。中でも、観客を湧かせたのは、アシスタントをしている母親を大箱に入れ、その箱を剣で突き刺す奇術。もちろん、母親は傷一つなく生還する。テレビや舞台で引っ張りだこの両親だった。しかし、同時に家庭に戻れば喧嘩ばかりしている両親だったのだ。ある日、突然、母は姿を消す。寂しかった「信也」に「父親」は母の生々しい絵を描いてもらう。すると……ここから先は、かなり、いや相当怖いです。トリックというより。
中村圭汰さんの「マジシャン・ロロ」の主人公は「世界一のマジシャン」トリックマスター・ロロだ。ショーの帰り道、有名人のロロは人びとに囲まれる。サーヴィスとしてマジックを即興で披露するロロ。一人の少年がそのマジックのタネをあっさり明かす。それでは次のマジック。やっぱり知ってる。その次のマジックも。どんなマジックをやっても少年にはトリックがわかるのだ。ロロは自分も少年時代にはどんなマジックも簡単に思えたことを思い出す。最後にロロは……いい話でした。でも最後のトリックはわかりません!
渡鳥うきさんの「よき妻」の主人公の「名海子」は、長年連れ添った夫を亡くし「自宅を引き払って、小さな海辺の町に越してきた」。子どもたちは独立し「一人暮らしだ」。専業主婦の生活は地獄だった。いまやっと「自由」を手に入れたのである。夫はわがまま。子どもたちはモンスター。「名海子」には味方なんかいなかった。だから、夫を殺したのだ。もちろん完全犯罪。というのも……なるほど。そのトリックはわかる。わかるけれども、なんだかすっきりしないし、読者としては後味がよろしくないんだよね。
川瀬えいみさんの「トリックスターの楽しみ」は、「私をトリックスターだという人はいないでしょう」という言葉から始まる。「トリックスター」とは、「善悪を超越した」存在で、物語を進行させる役割のもの。「私」は「清純な乙女」で「未婚で処女」。汚れなき存在で、善人だ。つまり「トリックスター」ではない。そんな「私」を試すように「神」は次々に試練を与える。母の命を奪い、父の再婚相手は意地悪。そんな私を救い出してくれる王子。でも「私」の「本心」は……ちょっと複雑すぎて、読みにくかったかも。
村木志乃介さんの「脱出不可能」はサスペンスだ。「後頭部が殴られたみたいにズキズキ痛んだ」。そして、気がつくと「私は身動き取れない箱の中に横たわっていた」。どうやら、手首を縛られ、箱に入れられたのだ。そして、箱が水の中に沈められていく。「私」は「目の前の光り輝く糸」を掴む。箱が水中でバラける。危機一髪。足をばたつかせて水面へ。やっと息をつけた。その瞬間、「煌々と灯りがとも」り、「周りから盛大な喝采」が。ここまで書くとわかりますよね。オチがわかるのが早すぎるかも。そこが残念。
天竜川駒さんの「種も仕掛け」の語り手の「私」は「種も仕掛けもありません」と「決め台詞」を語る手品師。「私」の自慢は美人の「妻」だ。昔、キャバクラのナンバーワンだった彼女を口説き落としたのである。やり方は「性的興奮を高める色」の服を着ること、「フェロモン香水」を使うこと、等々。女性を口説く方法を駆使することだった。そしてめでたく結婚。全部小細工だったのだ。ところで、妻には秘密がある。彼女もなかなかの「手品師」だったのである。というのも………そのオチはちょっと無理があるのでは。
■第33回 [ 不適切 ]
ええ、わたしも「不適切にもほどがある」を観てますよ。おもしろいですよね、クドカンのドラマ。そして、いろいろ考えさせられます。というわけで、みなさんも「不適切」について、一生懸命考えてみてください。
■第34回 [ 最後 ] 終わりです。お
■第33回 [ 不適切 ]
4/1~4/30(消印有効)
■第34回 [ 最後 ]
5/1~5/31(消印有効)
・2000字程度。データ原稿可。
・空白を含めず、文字カウントが2000字程度。
(1割の増減まで許容)
・タイトル、作者名は文字数に含みません。
・手書きの場合は、400字詰原稿用紙5枚程度。
・書式は自由。用紙サイズはA4判。設定できる人は縦書きで。
・作品冒頭にタイトル、本名かペンネームのどちらかを明記。
・作品にはノンブル(ページ番号)をつけること。
wordで書かれる方は、40字×30行を推奨します。
ご自分で設定してもかまいませんが、こちらからもフォーマットがダウンロードできます。
・応募の際にはメールアドレスを記入してください。
・入選作品は趣旨を変えない範囲で加筆修正することがあります。
・応募者には弊社から公募やイベントに関する情報をお知らせする場合があります。
〔WEB応募の場合〕
・所定の応募フォームから応募。作品にもタイトルと氏名を明記。
・未記入の場合は「タイトルなし」「名前なし」で選考されます。
〔郵送の場合〕
・別紙に〒住所、氏名(ペンネームの場合は本名も)、電話番号、メールアドレスを明記し、作品末尾に並べ、ホッチキスで作品ごと右上を綴じる(ゼムクリップ不可)。
・作品は元原稿のほか、コピーを1部提出。
・コピー原稿には別紙(住所等を書いた用紙)は添えない。
・作品は封筒に裸で入れる(過剰包装不要)。
・作品は折らない。
・作品の返却は不可。
未発表オリジナル作品に限る。
応募点数1人3編以内(同工異曲は不可)。
入選作品の著作権は公募ガイド社に帰属。
第33回 7/1、Koubo上
第34回 8/1、Koubo上
最優秀賞1編=Amazonギフト券1万円分
佳作7編=記念品
選外佳作=WEB掲載
※発表月の翌月初頃に記念品を発送いたします。
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「第〇回小説でもどうぞ」係
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