第52回 高橋源一郎「小説でもどうぞ」 課題「ゲーム」結果と講評


1951年、広島県生まれ。81年『さようなら、ギャングたち』でデビュー。
小説、翻訳、評論など著書多数。日本のポストモダン文学を代表する作家。
■第54回 [ 才能 ]
1/1~1/31(23:59)
■第55回 [ コンテスト ]
2/1~2/28(23:59)
ゲーム
今回はもしかしたら史上最高の豊作かもしれません。通常なら最優秀と推せるものが四つ(あるいは五つ)ほどありました。いや素晴らしい。同じテーマでまたやりましょう。
今回の最優秀作は二つ。そのうちの一つが増田正二さんの「母はレベル99」。シングルマザー「静香」の28歳の「ひきこもりの息子」勇人はついにゲームの世界の中にまで引きこもってしまう。でもまあいいか。ゲームの世界の中なら生活費浮くし。全滅しても復活するし。次の日、スライムに破れた勇人は他のゲームソフトに移動する。こちらは作物や動物を育て牧場を経営するゲーム。これなら大丈夫……と思ったら、これもしんどいからダメ。恋愛シミュレーションも予想通りダメ。やはり現実世界でいいと思ったら、なんと……完璧です。
もう一つの最優秀作は、太田さんの「父のタイムを追いかけて」。父が亡くなって七年、一人暮らしをしていた母を引き取り実家を壊すことになった。そのため「僕」は最後の掃除にやって来たのだ。そして「僕」は父の部屋で「古びたレースゲームのカセット」を見つける。懐かしい。だって、「僕」は昔、父とよくやっていたのだ。だから「僕」は休憩がてら、ゲームをやってみることに。一時間ほどやって「僕」はあることに気づく。なんと……ゲームの中で「父」を再発見する物語。号泣。
ナラネコさんの「ゲームの続き」。「私」は、私物を整理している。懐かしいものがいろいろ出てくる。そのうち「大冒険双六」といゲームが出てきた。サイコロを交互に振って、三つのコマをゴールまで持ってゆく簡単なゲームだ。昔よくやったっけ。すると小学校五年生になる孫の裕太が遊びに来た。「双六」を発見した裕太は「おじいちゃん、僕と一勝負してみない」と誘うのだ。そして始まる勝負。ゲームをしながらかつて繰り返しこのゲームで遊んだ友人を思いだす「私」。そして、あることに気づく……泣けます。
海門いおらさんの「八時十二分の別れ」は切ない物語。朝、小学生の
渋川九里さんの「やじるしタイル」、変わったタイトルだ。でも直球なんです。だって、「孝志」が会社のビルに入ると、なんと「目の前を人がスケートを滑るように横切っていった」のだ。実は、ここはゲーム会社で、ゲーム少年そのものの社長は、アイデアが浮かぶとゲームでも現実世界でも実行するのだが、今回はなんと社内のタイルにやじるしをつけ、そちらに流れてゆくというものを作ったのである。そりゃたいへん。どうやって目的地にたどり着けばいいのかわからないのだ。そして……見事なオチ。でも見事過ぎ?
湯島タロウさんの「この素晴らしい世界」はいきなり「カミ」と「ホトケ」の対話で始まる。「カミ」は「愚かな人間ども」に「これこれこういうことが罪だ」と教える必要があると言う。それに対して「ホトケ」は「人間なんて悪人だらけ」だから、好きにやらして最後に全員「極楽」で面倒を見ればいいと言うのである。意見合わないよね。そこで「カミ」と「ホトケ」はそれぞれの支配地域で千年間実験しその結果を競うことになった。これが「カミとホトケのゲーム」だ。その結果は……いや考えさせられるオチでした。
藤白ゆきさんの「コマンド」の主人公「素破真理夫」が家でゲームをしていると、こんな「コマンド」が目の前に現れた。「明日の朝学校に行ったら会う人ごとにおはようのあいさつをする。何もしないでゲームオーバー」。えっ? なにそれ? しかも実際に挨拶したかどうかわからないじゃん。というわけで、その指示に従ったふりをしたら……ゲームオーバー。なんでわかるの? その後もそんな事件が頻発。「コマンド」に従わないとゲームが終了するのだ。だから従ってみると……なるほど。ちょっと予想できたオチか。
紅帽子さんの「ゲー感なんかじゃ、歯が立たねえ」は「宇宙人襲来もの」。どうすればいい。もちろん「俺」も「同僚の片桐」も彼らは戦うはめになる。でもPTSDになるのはゴメンだ。だからいま流行りの「ゴーグル」をはめて戦うことにした。この「ゴーグル」をはめた瞬間、世界はすべてゲーム感覚になってしまうのだ。なんて便利。やがて宇宙人が襲来し、ふたりは彼らと戦う羽目に。いやそれでいいのか? ゴーグルをはずす「俺」。すると目の前には残酷な光景が広がっていた……面白い話なのに、オチがちょっと。
■第55回 [ コンテスト ]
いや、確かにこの「小説でもどうぞ」もコンテストなんですが。小説だけではなく、あらゆる表現にコンテストはありますよね。いや、それ以外のところにも、もしかしたら、コンテストと呼ぶしかないものがあるかも。
■第56回 [ 模倣 ]模倣です。真似です。そういうことが専門の芸人さんもいます。歌真似なんてジャンルもあります。小説だって模倣から始まりますね。AIなんか得意かも。いろんな世界のいろんな模倣や真似。待ってます、作品を。
■第55回 [ コンテスト ]
2/1~2/28(23:59)
■第56回 [ 模倣 ]
3/1~3/31(23:59)
本文2000字程度。縦書き。
(テキストデータは横書きでかまいません)
書式は自由ですが、A4判40字×30行を推奨します。
WEB応募に限ります。
応募専用ページにアクセスし、原稿をアップロ―ド。
(ファイル名は「第○回_作品名_作者名」とし、ファイル名に上記以外の記号類、および全角の記号は使用不可。_の記号は半角に)
作品の1行目にタイトル、2行目に氏名(ペンネームを使うときはペンネーム)、3行目を空けて4行目から本文をお書きください。
本文以外の字数は規定枚数(字数)にカウントしません。
Wordの方は作品にノンブル(ページ数)をふってください。
応募点数3編以内。作品の返却は不可。
Wordで書かれる方は、40字×30行を推奨します。
ご自分で設定してもかまいませんが、こちらからもフォーマットがダウンロードできます。
作品は未発表オリジナル作品に限ります。
入賞作品の著作権は公募ガイド社に帰属します。
AIを使用して書いた作品はご遠慮ください。
入選作品は趣旨を変えない範囲で加筆修正することがあります。
応募者には公募ガイド社から公募やイベントに関する情報をお知らせすることがあります。
第55回 2026/5/1、Koubo上
第56回 2026/6/1、Koubo上
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