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高橋源一郎の小説指南「小説でもどうぞ」第12回「休暇」結果発表

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作文・エッセイ
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小説でもどうぞ
イラスト:福士陽香
■選考委員/高橋源一郎

1951年、広島県生まれ。81年『さようなら、ギャングたち』でデビュー。
小説、翻訳、評論など著書多数。日本のポストモダン文学を代表する作家。

募集中のテーマ

■第15回 [ 表と裏 ] 
10/1~10/31(消印有効)

■第16回 [ 遊び ] 
11/1~11/30(消印有効)

※募集期間外の応募は無効になります。

第12回結果発表
課 題

休暇

テーマによって、寄せられる作品のレベルは違うようです。はっきりいって、今回のテーマ「休暇」に寄せられた作品のレベルは史上最高。みんな受賞作にしたかったです!

最優秀賞

 面白い作品が目白押しの中で受賞作となったのが、ヨシダケイさんの「覆面バイカーブラック」。主人公の「オレの名は木郷ハヤト。表向きは名も無い喫茶店のウェイターだが、俺は裏の顔がある……世界征服を企む悪の秘密結社ジョッキーと戦う、正義のヒーロー『覆面バイカーブラック』」なのだ。この正義のヒーローにも悩みはある。それは「毎日働き詰めで休暇が一切無いことだ」。そりゃそうだよね。では、ヒーローはどうやって休暇をとればいいのか。それをヨシダケイさんは教えてくれるのである。グッジョブ!

佳作

 ササキカズトさんの「長い休暇」は、「『では休暇の年間予定について説明します』研修担当の女性が俺に言った」と始まる。なるほど。でも、次にこんな文章が。
「今日は、夢の社会人第一日目。休暇三昧の日々が、今日から始まるのだ」
 なんか変だ、と思う間もなく、担当女性は様々な休暇について説明してゆく。土日祝日、夏期休暇、年末年始休暇、春期休暇、旅行休暇、外食休暇、買物休暇、娯楽休暇、芸術・スポーツ鑑賞休暇……無限に続く休暇リスト。その訳は? 怖い結末。面白かった!


 てんしさんの「俺の休暇」。「大手ゼネコンに勤める俺は分譲マンションを担当」、営業成績はトップ。おまけに「イケメン×3乗ほどのこの容姿」。「仕事はできる、金はある、顔は良い」の「三拍子揃った完全無欠な俺様」は、3DKのマンションで優雅に暮らすゴージャスな週末を迎えている。もちろん「付き合って5年になるガールフレンドのキョウ子」もいる。要するに、なにもかも完璧なのだ。でも、これで終わるわけはないよね。その通り。実は、「俺」は……そうだったのか。そして確かに「休暇」だったよね。


 十六夜博士さんの「愛される男」の主人公の「僕」は記者。デートはいつも事件で流される。ヤバい。彼女からは「今度、すっぽかしたら別れるから」といわれるし、こうなったらと決意をこめて、有給休暇をとった。さらには上司に「呼び出されても絶対行きません」と宣言。勇躍、彼女の家に向かったのだ。ところが、途中でひったくりに襲われているおばあさんと遭遇。ひったくりにタックル……までは覚えていた。なんと電柱に頭をぶつけて気絶。もちろんデートの時間は過ぎていた。でも、大丈夫。このオチ、いいですよ!


 オオツキマリコさんの「本日はU休なり」。なぜ「有休」ではなく「U休」なのか。
 主人公の「関本」は「同期で最速に支店長昇進」。大喜び……といいたいところだが、赴任先が高松。蕎麦が大好きなのに、「うどん県」に行くなんて。赴任してみると、やっぱり、どこもかしこも、うどんうどんうどん。でも食べてみると「驚愕した。なんと豊かな出汁、そしてこの白い麺は、きゅっとした噛み応えがあって心地よい」のだ。ああ美味い。そこで「関本」は「U休」をとることにする。わかりましたか? タイトルに秘密が隠されてます。


 秋谷りんこさんの「うそ」。「体調がすぐれない」と上司に電話して「僕」は会社を休む。実は仮病で、鎌倉へなんとなく行ってしまう。正直にいって、営業なんかやりたくない。合わないのだ。するとどうだ、小町通りに「閻魔大王」がいるではないか。なぜ? すると大王はあっさりこういう。「今日は有給休暇をとったので、お休みだ」と。そして「僕」と大王は鎌倉での休暇を楽しむのである。あっ、いけない。「仮病」ってことは、うそをついたってことで、もしかしたら舌を抜かれてしまうのか? ラストはちょっとホロり。そうでなくちゃね。


 秋あきらさんの「リフレッシュ休暇」は、かわいそうなお話だと思う。二週間のリフレッシュ休暇では趣味のサーフィンをしようと思っている「私」。でも、ほんとうは無趣味な独身男。「部下に見栄をはった」似非サーファーなのだ。そんな「私」は部下の本音を知ろうと、書庫にボイスレコーダーをしかけようと思い、忍びこむ……その瞬間、部下の声が。ヤバい! 「私」は慌てて、窓からビルの外へ。予想外の展開はさらに続いて、ついに「私」は追い詰められてしまうのである。なんのための休暇だったのか。気の毒に。


 市田垣れいさんの「仮面の人」は、最初から最後まで謎めいた作品だ。「週末のダンスホール」で人びとは仮面をつけて踊っている。ところが、ひとりだけ仮面をつけていない男がいる。その男は「私を上から下まで」見て、「今、追われている、違う?」という。すると、突然の闖入者が。そして、男に手を握られて「私」は逃げるのだ。男が働いているバーに着くと、男はいう。「君は世間を騒がせているアレだろう」。なぜ? なんのこと? その答えはラストで。もちろん休暇に関係あり。ヒントは、あの映画……かな。

応募要項
課 題

■第15回 [ 表と裏 ]

今回はちょっとひねった課題です。誰にでも何にでも、表の顔と裏の顔がありますよね。だいたい、ぼくたちは誰かの(なにかの)一つの顔しか知らない。そして、そうじゃないもう一つの顔を観てびっくりするんです。

■第16回 [ 遊び ]

「遊びをせんとや生まれけむ」とは平安時代の歌謡集『梁塵秘抄』の中の有名な一句。もしかしたら人間は「遊ぶ」ために生まれてきたのかも。でも、どんな遊びがあるのかな。子どもの遊び、大人の遊び、そして他には?

締 切

■第15回 [ 表と裏 ] 
10/1 ~ 10/31(消印有効)
■第16回 [ 遊び ] 
11/1 ~ 11/30(消印有効)

規定枚数

400字詰原稿用紙換算5枚厳守。ワープロ原稿可。用紙は横使い、文字は縦書き。
5枚以内ではありません。なるべく5枚ちょうどにしてください。5枚は本文の枚数です。表紙等は含みません。
書式は問いませんが、400字詰原稿用紙に書き直したときに5枚厳守であること。4枚以下や6枚以上の作品は選考の対象にならない場合があります。

応募方法

郵送の場合は、原稿のほか、コピー1部を同封。作品には表紙をつけ(枚数外)、表紙にはタイトル、氏名を明記。別紙に〒住所、氏名(ペンネームの場合は本名も)、電話番号、メールアドレスを必ず明記し、原稿と一緒にホッチキスで右上を綴じる。ノンブル(ページ番号)をふること。コピー原稿には別紙は不要。作品は折らないこと。作品の返却は不可。

※WEB応募の場合も作品には表紙をつけ、タイトルと氏名(ペンネームの場合はペンネームのみ)を記入すること。

応募条件

未発表オリジナル作品とし、最優秀賞作品の著作権は公募ガイド社に帰属。
応募者には、弊社から公募やイベントに関する情報をお知らせする場合があります。

発 表

第15回 2023/1/15、公募ガイドONLINE上
第16回 2023/2/15、公募ガイドONLINE上

最優秀賞1編=Amazonギフト券1万円分
佳作7編=記念品
選外佳作=WEB掲載

※最優秀賞の商品券はAmazonギフト券に変更となりました。

応募先

● WEB応募
上記応募フォームから応募。
● 郵送で応募
〒105-8475(住所不要) 公募ガイド編集部
「第〇回小説でもどうぞ」係

お問い合わせ先

ten@koubo.co.jp


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受講料 5,500円

https://school.koubo.co.jp/news/information/entry-8069/