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高橋源一郎の小説指南「小説でもどうぞ」第15回「表と裏」結果発表

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作文・エッセイ
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小説でもどうぞ
イラスト:福士陽香
■選考委員/高橋源一郎

1951年、広島県生まれ。81年『さようなら、ギャングたち』でデビュー。
小説、翻訳、評論など著書多数。日本のポストモダン文学を代表する作家。

募集中のテーマ

■第18回 [ 噂 ] 
1/1~1/31(消印有効)

■第19回 [ もの食う話 ] 
2/1~2/28(消印有効)

※募集期間外の応募は無効になります。

第15回結果発表
課 題

表と裏

 どれもおもしろかったです。ふだんの回なら最優秀賞になりそうな作品がゴロゴロ。もしかしたら、「表と裏」というテーマが良かったのかな。テーマ選びも大切ですね。

最優秀賞

 読み所たっぷりの作品たちを抑えて最優秀作になったのは河音直歩さんの「暗闇」です。「広瀬香澄」は会社一階のエントランスで、上司の「渡辺」と、同じ女性で後輩の「山口」を待っている。実は「香澄」は「渡辺」と不倫関係にある。もやもやした気分をずっと抱えた「香澄」。しかも「山口」はふたりの仲を勘づいているのだ。大人の複雑な関係がクライマックスを迎えるその夜、何が起こったのか。なるほど、という結末。そして何より、それが「表と裏」というテーマとぴったりという驚き。すごいです、ほんと。

佳作

 味噌醤一郎さんの「紙束」の主人公は朝起きてからずっと仕事のことが頭から離れない「私」。今日、月曜日も通勤電車の中で価格交渉のことを考えていた。すると突然、上司に話しかけられる。なんと有給休暇をとっていたことを忘れていたのだ。突然訪れた、束の間の休み。さて何をするか。「私」はなんとなく、朝なのに「赤ちょうちん」に入ってゆく。そして、そこで起こった出来事は……。実はこのタイトルの意味はいちばん最後までたどり着かないとわからない。そして、「表と裏」の意味も。いやお見事!


 高田昌彦さんの「問診」は、どうやら「医者」が認知症気味の「患者」を「問診」しているらしいところから始まる。「――きょうは何月何日ですか?」「うーん、わからん。忘れた」とか。いくら訊いてもずっと同じ調子。ほんとに認知症なのか? ところが、「医者」はこんな診断結果を下すのである。「あなたの病名は偽・認知症です。認知症のふりをした老人です」。なんだ、そうだったのか。ここで驚いちゃいけません。さらに、その後、お話は二転三転。衝撃の結末へ。なるほど、何が表で何が裏なのかわからんよね。


 齊藤想さんの「ないしょ話」。こちらもやはり怖いお話。修学旅行の楽しみといえば「夜のないしょ話」。なので、「お互いの秘密を明かしあう」ことに。まずは「美恵」からスタートする。「凄いから驚かないでよ」と言いながら。それはどんなお話かというと、「美恵」が幼稚園の頃、一緒に行ったデパートで、弟と隠れんぼをていたら迷子になったのだ。そして、母と弟を探すのだけれど誰も見つからない。やっと母親の姿を見つけると……そこから先は、想像もできない展開に。さらに、次の子の話はというと……。まいりました。


 前川暁子さんの「にっぽんの表と裏」は、不思議な味の快作。なにしろ冒頭の文章が「部屋を出ると、緑色の肌をした宇宙人が、手すりの向こうに浮かんでいた」なのだから。その宇宙人によると、この国を乗っ取るために、宇宙人の仲間が増えているのだそうだ。では、どこにいるのか。ビルやマンションの屋上にある小屋に住んでいるのだ。それを聞いて驚く「私」。「従兄の健ちゃん」がそんな小屋に住んでいたのを思い出したからだ。そして、「私」は「健ちゃん」に会いに行く。その結果は……なんかとても怖いです。


 若林明良さんの「記念貨幣」は、ぶっとんだお話だ。「20XX年、皇太子成年を記念し、一万円の記念貨幣を製作」することが決定。コンペの結果選ばれたのは「御年八十の日本画家と、藝大を卒業したばかりで無職の若者」の二人。テーマは殿下が好んでおられる蜻蛉とんぼ。では、どうやって決めればいいのか。あまりに対照的な二人に最後の対決がやってくる。もう一度蜻蛉の絵を描き、殿下自身に選んでもらうのである。そして、その結果は……。見事なオチ。しかも、ちゃんと「表と裏」だしね。まいりました。


 牧野冴さんの「コイントス」は、「出張先で適当に入った個人経営の居酒屋」で、並んで座り飲んでいた「僕」と友人の「西野」のちょっとしたエピソード。見合いで「美人で優しくて実家が金持ち」の女性と出会ったが、どうしても迷い、決められない「僕」。というのも、「僕」には忘れられない「雪」という女の子がいたからだ。迷いを断ち切るように、コイントスで決断しろよと迫る「西野」。それではと、コイントスをやってくれようとする居酒屋の店員。なんだか、「雪」に似ているんだが……なるほど、ニヤリです。


 山崎こうせいさんの「ミスター・ビッグストーン」は、「都心から外れた小さな商店街に面した、昔ながらの定食屋」の物語。そこの主人である「大石」には、「定食屋の主人」以外の顔がある。それは弱小プロレス団体の選手という顔だ。リングネームは「ミスター・ビッグストーン」。もちろん、そちらの顔は店の客たちにも秘密。なにしろ「プロレスラーは夢を売る仕事」なのだから。そんな「大石」に、大きな試合がやってくる。チャンピオンとのタイトルマッチだ。さて、どうなる? 少々淡いけれどいいお話でした。

応募要項
課 題

■第18回 [ 噂 ]

 昔、実家に戻ると親戚のおばちゃんたちがずっと噂話をしていました。「あの人、愛人がいるって」「あの人、隠し財産があるらしいよ」とか。でも、いまやあらゆる場所で(ネットでも)噂話。好きなんだなあみんな。

■第19回 [ もの食う話 ]

 はい、そのままずばり、です。誰でも毎日していることといえば、寝る、食べる、排泄する、呼吸する。それぐらいかな。あまりにふつうすぎて考える必要もないくらいです。エピソードはいくらでもありそうですね。待ってます。

締 切

■第18回 [ 噂 ] 
1/1~1/31(消印有効)
■第19回 [ もの食う話 ] 
2/1~2/28(消印有効)

規定枚数

A4判400字詰換算5枚厳守。ワープロ原稿可。
用紙は横使い、文字は縦書き。

応募方法

郵送の場合は、原稿のほか、コピー1部を同封。
作品には表紙をつけ(枚数外)、タイトル、氏名を明記。
別紙に〒住所、氏名(ペンネームの場合は本名も)、電話番号、メールアドレスを明記し、原稿末尾に並べ、ホッチキスで右上を綴じる(ゼムクリップ不可)。コピー原稿には別紙は不要。
作品にはノンブル(ページ番号)をふること。
作品は封筒に裸で入れ、折らないこと。作品の返却は不可。

※WEB応募の場合も作品には表紙をつけ、タイトルと氏名(ペンネームの場合はペンネームのみ)を記入すること。

応募条件

未発表オリジナル作品とし、入選作品の著作権は公募ガイド社に帰属。
応募者には、弊社から公募やイベントに関する情報をお知らせする場合があります。

発 表

第18回 4/15、公募ガイドONLINE上
第19回 5/15、公募ガイドONLINE上

最優秀賞1編=Amazonギフト券1万円分
佳作7編=記念品
選外佳作=WEB掲載

応募先

● WEB応募
上記応募フォームから応募。
● 郵送で応募
〒105-8475(住所不要) 公募ガイド編集部
「第〇回小説でもどうぞ」係

お問い合わせ先

ten@koubo.co.jp


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受講料 5,500円

https://school.koubo.co.jp/news/information/entry-8069/