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第23回「小説でもどうぞ」課題「趣味」結果と講評

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作文・エッセイ
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小説でもどうぞ
結果発表
イラスト:福士陽香
■選考委員/高橋源一郎

1951年、広島県生まれ。81年『さようなら、ギャングたち』でデビュー。
小説、翻訳、評論など著書多数。日本のポストモダン文学を代表する作家。

募集中のテーマ

■第26回 [ 冗談 ] 
9/1~9/30(消印有効)

■第27回 [ 病 ] 
10/1~10/31(消印有効)

※募集期間外の応募は無効になります。

第23回結果発表
課 題

趣味

 今回のテーマは「趣味」。力作が揃いました。どれもおもしろくて、差をつけるのがたいへんでした。高いレベルで僅差というのは、読んでいても楽しいです。

最優秀賞

 激戦を勝ち抜き最優秀賞に選ばれたのは、千波RYUさんの「サヨナラ婚活」。「四十三回目の誕生日」を迎えた「わたし」は、ようやくマッチングアプリで相手を探そうと決心する。それまで婚活サイトを避けてきたのは「趣味がまったくない」からだ。だが、今回は、ついに、正直に趣味の欄を空白にして提出。するとどうだ、同じように趣味の欄に「なし(無趣味)」と書いた男が現れたではないか。しかもルックスも悪くない。夢ではないの? だが、男は「わたし」に次のようにいう……そう来ましたか。納得です!

佳作

 吉村涼さんの「趣味か仕事か」の主人公である「俺たち雀士は怒っていた」。「俺たち」は、寂れつつある麻雀荘の生き残りの店の主人たち。「俺たち」は、店に突然やって来て、なじみの客たちから荒稼ぎをしている「年齢不詳」の男に怒っている。こんなことでは商売あがったり。絶対イカサマに決まってる。怒った「俺たち」はホテルに泊まっている「男」に直談判するために出かける。「男」の趣味は手品。しかし、やり過ぎだと謝罪し、罰金を払うと約束する。だが、しかし……オチも見事。伏線に気づきませんでした。


 ピーマンさんの「影踏み鬼」はきわめて単純なお話。「私」の趣味は「様々な場面で行きかう人たちの影を踏む」と。「一人で影踏み鬼をしている感じ」だ。簡単なルールもある。影が短いときはポイントも高いとか。そんな個人的なルールを作って、密かにゲームを楽しんでいる「私」。ところが、ある日、異変が起こる。なんと、影を踏まれた男が「痛っ」と呻いたのだ! それだけでない。そんな人物が次々現れたのだ。そして、「私」はその怪しい連中の影を踏むことを求めるようになる。あとはラストが……ほんとに惜しい。


 柚みいこさんの「彼女の趣味」は、ある「老婦人」のお話。彼女が身につけているのは、価値のあるほんものばかり。「これは金になるかもしれない」と思った「俺」は古物商と名乗り「まんまと彼女の家に上がり込む」。そして目をつけた通り「美術館の倉庫」と思えるほど骨董品があるではないか。だが、ほんとうのお宝は、それらではなかった。「一番奥の壁」にある「大きな姿見」を見ると、なんと……。そこから、一種の怪奇潭になってゆき、ぞっとする怖さがある。オチがもうちょっとスッキリしていたら完璧だった。


 白浜釘之さんの「純粋な趣味」は、「私」の「古い友人」の物語。その「彼」は「非情に多趣味で、かつストイックにそれを突き詰める」。そして、どの趣味でも極めてしまうのである。ギターを弾くと、コンテストで優勝。お菓子を作ると、ケーキショップからお誘いがかかる。ナンパをすれば無敵、競馬やパチンコでも大儲け、マラソンをすれば市民マラソンで優勝してマスコミが取材に。そんな「彼」は極めることなど不可能な無意味な趣味を開始する。ところが……すごく面白い話だが、結末がわかってしまうのが惜しい。


 若葉廉さんの「ろくでもない趣味」。定年退職した「勇作」は「妻の淑子」から「時間ができたんだから、何か好きなことを始めてみたらどう」と勧められる。妻が自分のことを気にかけてくれたのか。喜ぶ「勇作」。ところが、「勇作」が、これは、と思って話してみる「趣味」候補を妻は片っ端から拒否してゆくのである。最後にある趣味はどうかというと、妻は賛成する。そして、「勇作」はその趣味の世界に入りこんでいった……のだが、なんと離婚するはめに。その理由がちょっと理屈っぽかったかな。


 ゆうぞうさんの「花を好きな理由」の「ぼく」も「妻」も趣味は「短歌」。そんなある日、事件が起こる。高一になったばかりの「一人息子の保」が、中学時代に打ち込んだサッカーではなく「園芸部」に入ったからだ。心配した「妻」は息子が「LGBT」ではないかと疑う。そして「ぼく」に真実を訊きだすよう命じる。仕方なく問い質すと、なんと息子は、タイプの子から園芸部に勧誘されたからとあっさり答えるのだ。安心するふたり。だが、実は「ぼく」の方に秘密があったのだ。その最後のオチがいま一つだったかな。


 秋あきらさんの『テラリウムの家』。主人公の「俺」の「妻」の「趣味」は「テラリウム」、「水槽やボトルなどガラスの容器に、コケやシダといった植物を植栽して、容器の中に自然の風景を再現して楽しむという遊び」だ。「俺」は独身の頃、妻と仲良くなるため趣味を訊き出し、「テラリウム」と知って、すぐ手を出したのだが、やがて本物の趣味になった。そして二人は、共に「テラリウム」に没頭、内装も外装もそのために優先した家まで買った。「俺」はすべてに満足しているはずだった……オチがもう一息。惜しかった。

応募要項
課 題

■第26回 [ 冗談 ]

「ほんのご冗談を」の「冗談」です。「冗談じゃない!」の「冗談」です。みなさんは「冗談」がお好きですか? 困るのは「冗談」なのか「本気」なのかわからないときですね。もちろん、作品を書くときは「本気」で!

■第27回 [ 病 ]

 まったく病と無関係な人はいないでしょう。みんなどこかしら病んでいます。心かからだのどこかが。いや、健康に見えて病だったり、病に見えて健康だったり。ちなみに、わたしは心身ともに健康です……たぶん……。

締 切

■第26回 [ 冗談 ] 
9/1~9/30(消印有効)
■第27回 [ 病 ] 
10/1~10/31(消印有効)

規定枚数

A4判400字詰換算5枚厳守。ワープロ原稿可。
用紙は横使い、文字は縦書き。

応募方法

郵送の場合は、原稿のほか、コピー1部を同封。
作品には表紙をつけ(枚数外)、タイトル、氏名を明記。
別紙に〒住所、氏名(ペンネームの場合は本名も)、電話番号、メールアドレスを明記し、原稿末尾に並べ、ホッチキスで右上を綴じる(ゼムクリップ不可)。コピー原稿には別紙は不要。
作品にはノンブル(ページ番号)をふること。
作品は封筒に裸で入れ、折らないこと。作品の返却は不可。

※WEB応募の場合も作品には表紙をつけ、タイトルと氏名(ペンネームの場合はペンネームのみ)を記入すること。

応募条件

未発表オリジナル作品とし、入選作品の著作権は公募ガイド社に帰属。
応募者には、弊社から公募やイベントに関する情報をお知らせする場合があります。

発 表

第26回 12/1、Koubo上
第27回 2024/1/1、Koubo上

最優秀賞1編=Amazonギフト券1万円分
佳作7編=記念品
選外佳作=WEB掲載

応募先

● WEB応募
上記応募フォームから応募。
● 郵送で応募
〒105-8475(住所不要) 公募ガイド編集部
「第〇回小説でもどうぞ」係

お問い合わせ先

ten@koubo.co.jp


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受講料 5,500円

https://school.koubo.co.jp/news/information/entry-8069/