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第39回 高橋源一郎「小説でもどうぞ」 課題「眠り」結果と講評 

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結果発表
イラスト:福士陽香
■選考委員/高橋源一郎

1951年、広島県生まれ。81年『さようなら、ギャングたち』でデビュー。
小説、翻訳、評論など著書多数。日本のポストモダン文学を代表する作家。

募集中のテーマ

■第42回 [ 手紙 ] 
1/1~1/31(消印有効)

■第43回 [ 依存 ] 
2/1~2/28(消印有効)

※募集期間外の応募は無効になります。

第39回結果発表
課 題

眠り

 今回の課題は「眠り」。意外にやりにくかったかもしれません。そんな課題のときこそ、アイデア、テーマの裁き方、あっと驚く発想が試される。そう思いながら読みました。

最優秀賞

 最優秀賞は、ねこみみさんの「夜泣き」。タイトル通り、赤ん坊の「夜泣き」のお話です。ミルクを飲み機嫌よく寝ている。やったあ! そして、「全神経を集中して」赤ん坊を布団に……でも、その瞬間「ふぇつ」。寝かしつけ失敗。ずっとそれの繰り返し。もうダメだ。ヤバい。赤ん坊がいるとこんなことになるなんて。つらい。つらすぎる。いびきをかいて寝ている夫が憎い。いつしかソファンで寝ていた「私」。赤ん坊がいない! そこからの展開が泣けます。わたしも同じ経験をしておりますので、よくわかります!

佳作

 さとう美恭さんの「眠りのお悩み解決します」では、「百貨店の寝具売場」に勤める販売員の「私」のところに、かつてそこで夫の「自宅療養用」に「介護ベッド」を買った老婦人が訪れる。夫の没後、そのベッドで寝ているが、眠り過ぎて身体によくないといわれ、それを処分して新しいものが欲しいというのだ。けれど「眠り過ぎないベッド」など売場にない。「私」は他の売場の、ベッドではなく精神を安定させてくれるものを教えてあげる。「売上目標」を達成できず、上司に叱られる「私」。けれども……オチは泣けます!

眠る 作品を読む
和久井義夫

 和久井義夫さんの「眠る」は、ストレートないいお話だ。九十六歳の「志津子」は、デイサービスの女性や「隣の家に住んでいる娘の真理」の世話を受けながら一人暮らしをしている。「夫の一郎」が亡くなってからまだ一年もたっていない。なにもかもどんどん忘れてしまうが、歳だから仕方ない。なにしろ夫が生きているとさえ思っているのだ。洗濯機を回すと、忘れて水を出しっぱなしにするし、ご飯を作ってもらっても食べるのを忘れてしまう。そんな「志津子」は最後に……いや、ちょっと泣けるラストでした。


 佐々木祥子さんの「睡眠をもとめて」は、「仲良し夫婦」だけれど、ただ一つ「夫」の「いびき」に悩む「妻」である「私」のお話。結婚するまで「いびきというとてつもない轟音の存在」を知らなかった「私」は、あらゆる手段を費やして「いびき」から逃れようとする。最後にたどり着いた方法とは「夜の安眠は諦めて、割り切って日中に睡眠を確保する」ことだった。いややっと解決できたと思ったら……そこからの逆転は素晴らしいのだが、その結果起こったことがあまり後味がよろしくない。惜しかったです。


 柚みいこさんの「寝た子を起こすと」は、一人暮らしの「私」の身に起こった不思議な事件について書いたもの。ベランダに出ると「斜め向かいの家」の花壇の縁に「一人の老人」がずっと座っている。一日中座っている。意味がわからない。しかも目を瞑って。寝ているのか? 話しかけると、「この辺の土地は、全部オレのものだった」というのである。大地主だったのだろうか? やがて、「私」はその老人と毎日のように挨拶を交わすようになる。そんなある日、事件が……なるほどと納得。「寝た子」ってあれですよね。


 齋藤倫也さんの作品のタイトルは直球の「不眠」。主人公Tは病院の待合室にいる。どうやら「不眠症」らしい。なぜか知り合いの「太っちょ」に偶然出会う。なぜそこにいるのだろう。Tにはよくわからない。そして不思議なことに待合室はひどく混んでいて「見覚えのある顔ばかり」なのである。やがてTは医者の下へ。医者は「あなたは、眠れなくて、ここにいらした」と断言する。さらに続けて「もうすでに眠っている人を、眠らせることなんか無理だ」と告げるのである。その理由は……ちょっと、いやかなり怖いです。


 大西洋子さんの「回生の鳥達」は「墜ちていく、墜ちていく」と始まる。『不思議の国のアリス』っぽいなと思っていると、そんな主人公に「次はここから抜け出そうかェ、アリス」と呼ぶ声。そこには「絶滅したドードー」が。というわけで、そのまま『アリス』風の世界で物語は展開されてゆく。登場する「青い鳥」を探す幼子たち、そして……いろいろな鳥が出てくるお話たちを主人公は思い出し、最後に自分が「アリス」ではなく別の名前であることに気づくのだが、そのオチがなんだかよくわかりませんでした。


 桜坂あきらさんの「緒方玄白英世が死んだ日」。緒方洪庵こうあん、杉田玄白、野口英世という偉大な名医たちの名前が集結した「緒方玄白英世」が主人公。その息子が不調な父を見舞いにいくと、まるで動かない。慌てて息子は父の親友の医者「華岡長英」(こちらも華岡青洲+高野長英)に電話する。慌てて駆けつけた華岡は「ご臨終」と一言。「華岡」によれば、親の過剰な期待を背負った名前で苦労した「緒方」は子どもたちにはシンプルな名前をつけたのだと。いい親だったのだ。そして、ラスト……ちょっとこの終わり方はどうですかね。

応募要項
課 題

■第42回 [ 手紙 ]

「手紙」は英語では「メール」。でも、日本語の「メール」はネットで使うもの。ややこしいですね。今回は思い切り、日本語の「手紙」です。ご自由にお書きください。

■第43回 [ 依存 ]

 最近「依存症」が話題になることが多いです。ギャンブル依存、アルコール依存、買い物依存、薬物依存、等々。名前がついてなくても、「これ、依存だよなあ」というものもたくさん。わたしももちろん依存してます。

締 切

■第42回 [ 手紙 ] 
1/1~1/31(消印有効)
■第43回 [ 依存 ] 
2/1~2/28(消印有効)

字数

・2000字程度。データ原稿可。
・空白を含めず、文字カウントが2000字程度。
(1割の増減まで許容)
・タイトル、作者名は文字数に含みません。
・手書きの場合は、400字詰原稿用紙5枚程度。

書式

・書式は自由。用紙サイズはA4判。縦書き、横書きは自由。ただし、選考は縦書き、発表は横書きで行う。
・作品冒頭にタイトル、本名かペンネームのどちらかを明記。
・作品にはノンブル(ページ番号)をつけること。

wordで書かれる方は、40字×30行を推奨します。
ご自分で設定してもかまいませんが、こちらからもフォーマットがダウンロードできます。

その他

・応募の際にはメールアドレスを記入してください。
・入選作品は趣旨を変えない範囲で加筆修正することがあります。
・応募者には弊社から公募やイベントに関する情報をお知らせする場合があります。

応募方法

〔WEB応募の場合〕
・所定の応募フォームから応募。作品にもタイトルと氏名(ペンネームの場合はペンネームのみ)を明記。
・未記入の場合は「タイトルなし」「名前なし」で選考されます。

〔郵送の場合〕
・必ず元原稿とコピー原稿を各1部、計2部提出。
・元原稿、コピー原稿ともタイトルと氏名(ペンネームの場合はペンネームのみ)を明記すること。
・コピー原稿には住所など個人情報を書かないこと。
・締切は当日消印有効(余裕をもって提出ください)。
・別紙に〒住所、氏名(ペンネームの場合は本名も)、電話番号、メールアドレスを明記し、作品末尾に並べ、ホッチキスで作品ごと右上を綴じる(ゼムクリップ不可)。
・作品は封筒に裸で入れる(過剰包装、クリアファイル等は不要)。
・作品は折らないこと。
・作品の返却は不可。

応募条件

未発表オリジナル作品に限る。
応募点数1人3編以内(同工異曲は不可)。
AIを使用した作品は不可。
入選作品の著作権は公募ガイド社に帰属。

発 表

第42回 2025/4/1、Koubo上
第43回 2025/5/1、Koubo上

最優秀賞1編=Amazonギフト券1万円分
佳作7編=記念品
選外佳作=WEB掲載
※発表月の翌月初頃に記念品を発送いたします。
配送の遅れ等により時期が前後する場合がございます。

応募先

● WEB応募
上記応募フォームから応募。
● 郵送で応募
〒105-8475(住所不要) 公募ガイド編集部
「第〇回小説でもどうぞ」係

お問い合わせ先

ten@koubo.co.jp


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「小説でもどうぞ」の応募作品を添削します。

受講料 5,500円

https://school.koubo.co.jp/news/information/entry-8069/