公募/コンテスト/コンペ情報なら「Koubo」

高橋源一郎の小説指南「小説でもどうぞ」第16回「遊び」結果発表

タグ
小説・シナリオ
小説
投稿する
小説でもどうぞ
イラスト:福士陽香
■選考委員/高橋源一郎

1951年、広島県生まれ。81年『さようなら、ギャングたち』でデビュー。
小説、翻訳、評論など著書多数。日本のポストモダン文学を代表する作家。

募集中のテーマ

■第19回 [ もの食う話 ] 
2/1~2/28(消印有効)

■第20回 [ お仕事 ] 
3/1~3/31(消印有効)

※募集期間外の応募は無効になります。

第16回結果発表
課 題

遊び

 今回の課題は「遊び」。心ゆくまで遊んだ作品は思ったより少なかったです。人間というものは「遊びをせんとや生まれけむ」とは『梁塵秘抄』の名文句。もっと遊ぼうぜ。

最優秀賞

 最優秀作となったのは、酔葉了さんの「遊びのない男」。タイトル通り、主人公の「私」は「とある銀行の郊外の支店に勤務している」が周りの評価は「堅物」「真面目すぎて融通が利かない」「遊びを知らない人」。しかも、そのことを本人も認めている。そんなある日、「顧客の担保物件の実査」に部下と行くことになった。読みながら、どこで「遊び」が出てくるのかと楽しみに待っていたけれど、まったく出てこないまま結末へ。ああ、なんというどんでん返し。なるほど、それが「遊び」だったのか。参りました。

佳作

 尼子猩庵さんの「手信号」は、不思議な作品。「彼」は退屈していた。何もすることがない。上空の飛行機をぼんやり見ていた。そして不意に「でたらめな手信号を送ってみた」。すると、飛行機がこちらを向いたではないか。「彼」は逃げた。見知らぬおじさんに自転車を借り、知らない車に乗せてもらい、電車や新幹線に乗りこみ、どんどん逃げた。でも飛行機は追いかけてくる……さて、このお話はどうなるのでしょうか。とにかくこの「遊び」はスケールがデカい! 書き方は正反対だが、最優秀作に負けず劣らずでした。


 瀬島純樹さんの「ダルマさんがころんだ」は、子どもの頃よくやった遊び「ダルサさんがころんだ」をやってみるだけのお話。参加しているのは「いっちゃん」「えっちゃん」「りっちゃん」。大好きなご馳走めがけて、みんなダッシュ。でも、なんだか不穏な雰囲気が漂っている。見知らぬ「はじめての子」もいつの間にか遊びに入ってくるし。これはどんな恐ろしいことになるのやら、とビクビクしながら読んでいると、衝撃のクライマックス。びっくりしました。やられました。まるで気がつきませんでしたよ。


 七積ナツミさんの「遊んで暮らしたような日日」の主人公は「川田喜久壽」。なんと「九十二歳」! すごい名前だ。なにしろ、「八十代になってやっと自分の名前が年相応になるのを感じた」ぐらいだ。いまは静かに「一人暮らし」をしている。でも、まだまだ元気で、週に二日のデイサービスが楽しみだ。ちょっと残念なのは「娘息子」が面倒を見てくれると思っていたのが外れたこと。でも、「孫娘の七奈」」が時々来てくれるから、まあいいだろう。なんだかしんみりしたお話だが、ラストが少々わかりにくくて残念。


 圭三さんの「終末のソロキャンプ」。「週末」ではなく「終末」。なんだか怖い。「ソロキャンプ」にはまっている「俺」は、ほんとうはキャンプしていたはずなのに、仕事に向かっている。それは、「同僚の稲田が数週間全くの音信不通、つまり失踪したからだ」。だから、「稲田」の残した仕事をやらなきゃならない羽目になったのである。たどり着いたのは「昭和の時代のまま時が止まったかのような田園風景」。あれ? なんだか変だぞ。そして「俺」がそこで見たものは……。この「遊び」、ちょっと救いがないんですが。


 諸井佳文さんの「秋日和」の主人公「夏菜」は女子高生。「母」は看護士で、「父」は「半年前に会社を辞めて、それっきりゲーム三昧」だ。ずっと部屋で遊んでいるのである。「夏菜」はなんとなく学校に行く気にならず、ふだんと反対の道を進むと、小さなワイナリーらしき所へ。そして、学校をさぼり、そこでアルバイトをしてしまうのである。娘が学校をさぼったことを知った「母」は泣きだす。だが、そのとき、奥から「父」が……。どうやら、仕事も楽しければ「遊び」のようなものだ、というテーマらしい。あと一歩!


 猪又琉司さんの「遊びの代償」に出てくる「遊び」はちょっとひどい。「僕と金やんの聖域」だった公園にブルーシートのテントが建てられたのが始まりだった。そのテントに住んでいる「おじさん」に「石を投げたり、水を掛けたり」する「遊び」だからだ。そんな「遊び」は不幸な結果を生んだ。「僕」にとっても「金やん」にとっても。そして、大人になった「僕」の前に「金やん」が現れるのだ。ちょっと最後のところがわかりにくかったかな。「金やん」の性格がいま一つ、はっきりしなかったのも惜しかった。


 山川海さんの「神様のイタズラ」は、「俺」のところに「神様を名乗る女」が訪れる。その「神様を名乗る女」はマスクをしている。どうやら美人らしい。でもほんとに神様なのかな。そこで「俺」は、その女が神様であるのかを試してみる。すると、なんでもできるのだ。やったね! そして「俺」は、みごとに恋に落ちた。でも、このまま幸運がつづくはずがない。だから、別れを告げたのだ。そのときマスクをとった。ほんとに美人だった……。そして、最後。オチがちょっと……。あと、どの部分が「遊び」なのかな。

応募要項
課 題

■第19回 [ もの食う話 ]

 はい、そのものずばり、です。誰でも毎日していることといえば、寝る、食べる、排泄する、呼吸する。それぐらいかな。あまりにふつうすぎて考える必要もないくらいです。エピソードはいくらでもありそうですね。待ってます。

■第20回 [ お仕事 ]

 課題に「遊び」があるなら、当然「お仕事」もあります。いったい世の中に、どれくらい「お仕事」があるんでしょう。みなさんは、どんな「お仕事」をされています? いや、それ、ほんとに「お仕事」ですか?

締 切

■第19回 [ もの食う話 ] 
2/1~2/28(消印有効)
■第20回 [ お仕事 ] 
3/1~3/31(消印有効)

規定枚数

A4判400字詰換算5枚厳守。ワープロ原稿可。
用紙は横使い、文字は縦書き。

応募方法

郵送の場合は、原稿のほか、コピー1部を同封。
作品には表紙をつけ(枚数外)、タイトル、氏名を明記。
別紙に〒住所、氏名(ペンネームの場合は本名も)、電話番号、メールアドレスを明記し、原稿末尾に並べ、ホッチキスで右上を綴じる(ゼムクリップ不可)。コピー原稿には別紙は不要。
作品にはノンブル(ページ番号)をふること。
作品は封筒に裸で入れ、折らないこと。作品の返却は不可。

※WEB応募の場合も作品には表紙をつけ、タイトルと氏名(ペンネームの場合はペンネームのみ)を記入すること。

応募条件

未発表オリジナル作品とし、入選作品の著作権は公募ガイド社に帰属。
応募者には、弊社から公募やイベントに関する情報をお知らせする場合があります。

発 表

第19回 5/15、公募ガイドONLINE上
第20回 6/15、公募ガイドONLINE上

最優秀賞1編=Amazonギフト券1万円分
佳作7編=記念品
選外佳作=WEB掲載

応募先

● WEB応募
上記応募フォームから応募。
● 郵送で応募
〒105-8475(住所不要) 公募ガイド編集部
「第〇回小説でもどうぞ」係

お問い合わせ先

ten@koubo.co.jp


応募作品添削サービス!
「小説でもどうぞ」の応募作品を添削します。

受講料 5,500円

https://school.koubo.co.jp/news/information/entry-8069/