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第43回 高橋源一郎「小説でもどうぞ」 課題「依存」結果と講評 

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結果発表
イラスト:福士陽香
■選考委員/高橋源一郎

1951年、広島県生まれ。81年『さようなら、ギャングたち』でデビュー。
小説、翻訳、評論など著書多数。日本のポストモダン文学を代表する作家。

募集中のテーマ

■第46回 [ 試験 ] 
5/1~5/31(消印有効)

■第47回 [ 逆転 ] 
6/1~6/30(消印有効)

※募集期間外の応募は無効になります。

第43回結果発表
課 題

依存

 いろいろ意外な「依存」を書いてくださいました。でも、もっといろいろあるかもなあ。たとえば、小説家はなにに依存するのか。公募する人たちが依存しているものは……。

最優秀賞

 最優秀賞は伊藤ゆうさんの「さとう」。主人公は「三十路超えの女」の「私」。そんな「私」の秘密は、「砂糖」に支配されていることだ。仕事帰りに買ったドーナッツ十個をぱくり。巨大な冷蔵庫には「大量の練乳と生クリーム」のストックがある。職場には超甘いスイーツを持ってゆくし、お弁当もほぼ「砂糖煮」。「私は『砂糖』の奴隷」で「心も、身体も支配されている」のだ。殺されてもかまわないとさえ思っている。そんな「私」の秘密。それはね……あまりにシンプルすぎるオチ。ちょっと甘いけど、グッド!

佳作

 川瀬えいみさんの「魔女の軟膏」は、「息子夫婦の忘れ形見」の孫の「徹」を甘やかすことなく育ててきた。そんな「自慢の孫」が「美人の婚約者を放っぽって、家事代行の四十路女にいれあげている」と聞いた「私」。調べてみると平凡な中年女なのに、顧客は「功成り名遂げた成功者ばかり」。とても「色仕掛けに引っかかるような頓馬ではない」。なので「私」は直接、その女に会って確かめてみることに。やがて、その理由が判明する。実は……とそこまではなるほどで、その先のオチが完璧。唸りましたね。


 福雪蕗乃さんの作品のタイトルは「猫魔世界」。いったいどんなことが起こるのか? 主人公の「私」は、夫とは若いころ離婚し、結婚せず子どもも作らなかった四十代の娘と二人暮らし。娘は毎日家でPCと睨めっこしながら仕事をしている。「私」はすることがないのでスマホでゲームに没頭。そんな「私」に怒って、娘はスマホを取り上げてしまうのだ。ゲームをやりたいのに。そんな愚痴をこぼせるのは隣家の黒猫。実は「猫魔世界」というゲームをやるようになった頃から、猫と話せるように。やがて……見事なオチです!


 杜緒悠さんの「テディベア、我が相棒」は、ちょっと泣けるいいお話。「秀城」はずっと「グレゴリーと名づけたテディベアと共に過ごしてきた」。ところが「結婚したいと、と思える相手」が現れた時、「秀城」はある決断を迫られる。彼女は「ぬいぐるみに依存する男」を好まない女性だったのだ。どうしたらいい。捨てる? やっぱり無理だ。そこで「秀城」は、なんでも相談できる「悪友の翔佑」に打ち明けるのだ。すると「翔佑」は預かってくれるというのだ。そうだった。実は「秀城」は……。そう来るのか!


 草浦ショウさんの「自殺依存症」、タイトル通り、ヤバいお話。「二〇二五年二月十六日。田中浩一は気球に乗っていた」で始まり、いきなり「田中浩一」は飛び降り自殺をしてしまう。えっ? でも次の瞬間には自宅のベッドの中。実は「田中浩一」は「二〇二五年二月十六日」という同じ日を繰り返して生きているのである。そんなの退屈で仕方ない。「田中浩一」が選択したのは「自殺」することで、それが生きがいになったのである。そんな「田中浩一」があるアイドルグループのファンに。そして……気持ち分かります。


 猫壁バリさんの「浮力」の主人公は、豊かな自然のある「依存症の治療施設」にいる。以前はたいへんだった。会社でのハードワークで、寝る暇さえない生活。そして精神を病んでこの施設に収容されたのである。なにもせずぼんやりと時間を過ごす。寢たいだけ寝て、散歩して、自分で食事も作る。やっと人間的な生活ができるようになって、主人公は回復を感じる。しかし、誰がお金を出し、いつ元の生活に復帰できるのかわからないのである。そして、戻れるとわかったとき……いや衝撃の、というか超意外な結末でした!


 大西洋子さんの「ダイエットモニター」、「私」は「栗の渋皮煮、あるいは栃餅に似た渋みに申しわけ程度の甘み。あまりおいしいとはいえない」「T大学K教授考案の低糖質フード」のダイエットモニターをやっている。「いにしえの修行僧の食事を元に考案された」それを食べ、週末にレポート提出。だんだん痩せてゆくにつれ、なぜか不味くて仕方なかったそれを食べたくて仕方なくなってくるのだ。そんなある日、その試供品が突然届かなくなる。実は……ちょっとホラーな結末で面白かった。でも終わりが若干唐突かな。


 朝倉亜空さんの「消えちゃいたいほど恥ずかしい」は「私、今、お金持ってない」ということばで始まる。しかも「小洒落た洋風レストランで一人高級ステーキを食べている」のだ。どういうこと? 食べ終わると「私」は、トイレで全裸に。でも鏡には映っていない。なんと、「私」は透明人間だったのだ! もちろん、わたしは裸のまま脱出。食い逃げに成功するのである。実は「私」は自分が透明人間であることに「依存」して、こんな犯罪行為を積み重ねていた。やがて……ちょっと設定に無理があるのでは。残念。

応募要項
課 題

■第46回 [ 試験 ]

 みなさん、「試験」にはどんな思い出がありますか。あまりいい思い出はないかもしれませんね。思えば、生まれてからずっと「試験」ばかりやらされている気がしますが。もしかしたら、この公募自体が「試験」かも。

■第47回 [ 逆転 ]

 たとえば野球でいちばん面白いのは「逆転サヨナラゲーム」。最後の最後でひっくり返るのを見るのは面白い。でも、ひっくり返される側になるのはちょっと……。さて、この世にはどんな「逆転」があるでしょうか。

締 切

■第46回 [ 試験 ] 
5/1~5/31(消印有効)
■第47回 [ 逆転 ] 
6/1~6/30(消印有効)

字数

・2000字程度。データ原稿可。
・空白を含めず、文字カウントが2000字程度。
(1割の増減まで許容)
・タイトル、作者名は文字数に含みません。
・手書きの場合は、400字詰原稿用紙5枚程度。

書式

・書式は自由。用紙サイズはA4判。縦書き、横書きは自由。ただし、選考は縦書き、発表は横書きで行う。
・作品冒頭にタイトル、本名かペンネームのどちらかを明記。
・作品にはノンブル(ページ番号)をつけること。

wordで書かれる方は、40字×30行を推奨します。
ご自分で設定してもかまいませんが、こちらからもフォーマットがダウンロードできます。
Wordファイルの中にあらかじめ書かれてある文言はすべて消してご利用ください。

その他

・応募の際にはメールアドレスを記入してください。
・入選作品は趣旨を変えない範囲で加筆修正することがあります。
・応募者には弊社から公募やイベントに関する情報をお知らせする場合があります。

応募方法

〔WEB応募の場合〕
・所定の応募フォームから応募。作品にもタイトルと氏名(ペンネームの場合はペンネームのみ)を明記。
・未記入の場合は「タイトルなし」「名前なし」で選考されます。
・ペンネームを希望する場合は原稿にはペンネームのみを記入してください。原稿に本名が記載してある場合は、応募データにペンネームが書かれてあっても、本名で発表される場合があります。

〔郵送の場合〕
・必ず元原稿とコピー原稿を各1部、計2部提出。
・元原稿、コピー原稿ともタイトルと氏名(ペンネームの場合はペンネームのみ)を明記すること。
・コピー原稿には住所など個人情報を書かないこと。
・締切は当日消印有効(余裕をもって提出ください)。
・別紙に〒住所、氏名(ペンネームの場合は本名も)、電話番号、メールアドレスを明記し、作品末尾に並べ、ホッチキスで作品ごと右上を綴じる(ゼムクリップ不可)。
・作品は封筒に裸で入れる(過剰包装、クリアファイル等は不要)。
・作品は折らないこと。
・作品の返却は不可。

応募条件

未発表オリジナル作品に限る。
応募点数1人3編以内(同工異曲は不可)。
AIを使用した作品は不可。
入選作品の著作権は公募ガイド社に帰属。

発 表

第46回 2025/8/1、Koubo上
第47回 2025/9/1、Koubo上

最優秀賞1編=Amazonギフト券1万円分
佳作7編=記念品
選外佳作=WEB掲載
※発表月の翌月初頃に記念品を発送いたします。
配送の遅れ等により時期が前後する場合がございます。

応募先

● WEB応募
上記応募フォームから応募。
● 郵送で応募
〒105-8475(住所不要) 公募ガイド編集部
「第〇回小説でもどうぞ」係

お問い合わせ先

ten@koubo.co.jp


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「小説でもどうぞ」の応募作品を添削します。

受講料 5,500円

https://school.koubo.co.jp/news/information/entry-8069/