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高橋源一郎の小説指南「小説でもどうぞ」第19回「もの食う話」結果発表

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作文・エッセイ
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結果発表
小説でもどうぞ
イラスト:福士陽香
■選考委員/高橋源一郎

1951年、広島県生まれ。81年『さようなら、ギャングたち』でデビュー。
小説、翻訳、評論など著書多数。日本のポストモダン文学を代表する作家。

募集中のテーマ

■第22回 [ 祭 ] 
5/1~5/31(消印有効)

■第23回 [ 趣味 ] 
6/1~6/30(消印有効)

※募集期間外の応募は無効になります。

第19回結果発表
課 題

もの食う話

 今回の「もの食う話」、傑作揃いでした。他の回なら最優秀だったかもと思われる作品が半分くらいありましたよ。いつもこうだと選ぶ方も楽しいです。サンキュー!

最優秀賞

 最優秀作の十六夜博士、「プレーンタルトケーキ」は「プロポーズされた帰り道、心の焦点が定まらないまま私はいつしか元カレの連絡先をスマホで探していた」で始まる。いつまでも夢を追い求めるタイプの元カレ「タクちゃん」と別れ「私」は婚活サイトに登録し、良い人に出会い、プロポーズまでされたのだが……。そしてもう一度会う「私」と「タクちゃん」。その「タクちゃん」はタルトケーキでも何でも「好きなものから食べる」タイプ。そして、ラスト。そう来るのか! 良質のラブコメのエンディングだぜ!

佳作

 湯崎涼仁さんの「隣の客は」。これは『今日何を食おうか』という動画チャンネルを主宰している「俺」のお話。ターゲットは「定食屋」で、テーマは「コスパがすべて」。そんなお店を探して、今日も歩く。とある定食屋で、同じような動画チャンネラーに出会うと、なんとそいつは「俺」のチャンネルで紹介した店を勝手に紹介していた。文句をいうと「自分で一から探すよりもコスパがいいからです!」のひとこと。ガックリくる「俺」に店主が耳打ちしてくれる。そうか「食う」だけではなく……。オチが最高です。


 トラキャットさんの「くいくい」。それは主人公「俺」の名前。「俺」はいきなり「ひとりのガキ」の「胸元に手を突っ込」む。そして「ガキの体から目当てのものを掴み上げ」て食べるのだ。ひええっ、食人鬼? いえ「俺」は「人間の感情を食って生き」る妖怪なのだ。なによりの好物は「悲しい、さみしい」感情。だとすると、いいやつなのかも。そんな「くいくい」と「ガキ」の間に不思議な友情が芽ばえる(名前をつけたのもその「ガキ」なんです)。そして、最後。こう来るのか……ずるいよなあ。そしてうまい。


 七積ナツミさんの「おじいちゃん」。「私」の「おじい」は「九十歳を超えてなお、好奇心に満ちている」のだ。確かに「食べかけのラーメン」を「洗面台の下の物置棚」に置いて忘れたりするし、それを見つけて注意すると、そのままレンジに入れて「煮込みラーメン」みたいにして食べてしまう。でもなんか美味いんですけど。「あのさ、死ぬ前に食べるとしたら何食べたい?」という質問に「おじい」は「食べたことないもん、食べたい」と即答。そして、お話のラストにその食べものが出てくる。それが可愛いんですよ!

選べない男 作品を読む
オオツキマリコ

 オオツキマリコさんの「選べない男」。主人公の「信吾」はアレルギーがひどく、小さい頃から弁当持参。調理自習では「ひとりだけ除去食」。大学に入学してもアレルギー対応食が可能な寮がなく自炊生活。そんな「信吾」に声をかけてくれたのが、妹が食物アレルギーだという「紬」という女子学生。親しくなってデートをするようになるけど、でも一緒に食事ができない。するとある時「紬」の方からディナー・デートのお誘いが。そこはアレルギー対応の素晴らしい料理を作ってくれるお店だった……見事なラストなんだけど……少々わかりにくかったのが惜しい。

胃ろう 作品を読む
安藤みなつき

 安藤みなつきさんの「胃ろう」。まずタイトルにびっくり。そう、口から食べられなくなった患者のために体に作ってあげる、あの「胃ろう」です。主人公の「富田永三郎」は「一代で、名の知れたフード店を全国へ展開した」起業のトップ。そんな彼が脳卒中で倒れる。もうダメかも、という周囲の声を跳ね返した「富田」だが、延命するためには「胃ろう」を作る必要があると医者はいう。「富田」の返答は。そしてその理由とは。最後に明かされる驚くべき秘密。「食」をテーマにした泣けるお話でした。いや、泣きました。


 大川かつみさんの「食レポ」は、もちろん食レポに関する作品。では誰がその食レポをするかというと、ふつうのお客さんなんですね。「俺」は「久しぶりに外食しようと近所の中華店に行った」。あるある。そこで最近よく見かける机上の端末で「メニューを選んで画面をタッチ」。あるある。「注文確定」。あるある。「食レポをお願いします」。えっなに? さよう、この店に入ると、客は食レポを画面上に待機する人たちにしなきゃならないのだ。その顛末は……想像してください。怖い小説です。いや、現実もそうかも。


 ともみさんの「昼下がり」は、毎日「窓辺の席に座り、食事をとるのが日課」の「男」の物語。まずは「スープを一さじ」、「風味が鼻一杯に広がる」。メインは「鶏肉のロースト」、まるで「見事な芸術品」。どれも最高の料理、そしてそれを味わう喜び。途中までは、料理の美味しさを描いていたかと思うと、なんだか変。「子供のはしゃいだ声、自転車のベル音車のエンジン音」等々が、食事の邪魔をするのである。いったいなぜ? 実は……最後に種明かしが。よくできてます。でも読んでいてなんだかつらかったです。

応募要項
課 題

■第22回 [ 祭 ]

 祭っていろいろありますよね。リオのカーニバルも祭だし、学園祭だって祭、野外フェスも祭。「お祭騒ぎ」は個人的な祭なのかも。祭につきものなのは、花火、夜店、その他いろいろ。祭が終わると、なんだか寂しい。

■第23回 [ 趣味 ]

 みなさんの趣味はなんですか。わたしは、とりあえず競馬。読書……趣味じゃないかも。引っ越し……趣味じゃないですね。アレ……いえないけど、もうやめました。アレ……書けないけど、まだやっています。アレ……。

締 切

■第22回 [ 祭 ] 
5/1~5/31(消印有効)
■第23回 [ 趣味 ] 
6/1~6/30(消印有効)

規定枚数

A4判400字詰換算5枚厳守。ワープロ原稿可。
用紙は横使い、文字は縦書き。

応募方法

郵送の場合は、原稿のほか、コピー1部を同封。
作品には表紙をつけ(枚数外)、タイトル、氏名を明記。
別紙に〒住所、氏名(ペンネームの場合は本名も)、電話番号、メールアドレスを明記し、原稿末尾に並べ、ホッチキスで右上を綴じる(ゼムクリップ不可)。コピー原稿には別紙は不要。
作品にはノンブル(ページ番号)をふること。
作品は封筒に裸で入れ、折らないこと。作品の返却は不可。

※WEB応募の場合も作品には表紙をつけ、タイトルと氏名(ペンネームの場合はペンネームのみ)を記入すること。

応募条件

未発表オリジナル作品とし、入選作品の著作権は公募ガイド社に帰属。
応募者には、弊社から公募やイベントに関する情報をお知らせする場合があります。

発 表

第22回 8/1、Koubo上
第23回 9/1、Koubo上

最優秀賞1編=Amazonギフト券1万円分
佳作7編=記念品
選外佳作=WEB掲載

応募先

● WEB応募
上記応募フォームから応募。
● 郵送で応募
〒105-8475(住所不要) 公募ガイド編集部
「第〇回小説でもどうぞ」係

お問い合わせ先

ten@koubo.co.jp


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受講料 5,500円

https://school.koubo.co.jp/news/information/entry-8069/