文芸公募ニュース 3.28更新 文芸ニュース拾い読み



九段理江さん、95%をAIで書いた小説を発表
芥川賞受賞作『東京都同情塔』について、「全体の約5%は生成AIの文章を使っている」として話題になった作家の九段理江さんが、雑誌「広告」(3.24発売)の中で、「95%を人工知能(AI)で書いた」という短編小説を発表した。
タイトルは「影の雨」で、同誌でのページ数は3ページ。九段さんとAIとのやりとりを記録したプロンプトは一部誌面に公開されているので、興味がある方は見てみよう。
雑誌「広告」Vol.418は定価1000円。
第75回芸術選奨文部科学大臣賞は町屋良平『私の小説』
町屋良平の連作短編『私の小説』が、令和6年度(第75回)芸術選奨文部科学大臣賞に選ばれた。文化庁では贈賞の理由を以下のように記している。
「私の小説」は五つの作品(「私の文体」「私の労働」「私の推敲」「私 の批評」「私の大江」)からなる短編集。タイトルが示すように、書くべき対 象としての「私」に過剰に拘泥しながらも、架空作家からの「引用」や、 妄想とユーモアをたっぷりまぶした作品は、書く主体としての「私」を批評する冴えた目に貫かれている。優れて自己言及的なフィクション(異形の「私小説」) によって、日本文学の「伝統」を刷新した功績は大きい。
同書に収録された「私の批評」は、第48回川端康成文学賞も受賞しており、芸術選奨と川端康成文学賞のW受賞は史上二人目の快挙。
第59回吉川英治文学賞は角田光代『方舟を燃やす』
第59回吉川英治文学賞は、角田光代の『方舟を燃やす』(新潮社刊)に決まった。
吉川英治文学賞は、大衆小説や歴史小説の発展を目的として設立された文学賞。直木賞や山本周五郎賞と同様、エンターテインメント小説が対象。直木賞は中堅作家が受賞することが多いが、吉川英治文学賞はさらにベテラン作家の功労賞的な色彩がある。
角田光代(かくた・みつよ)
1967年、神奈川県横浜市生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。1990年、第9回海燕新人文学賞を受賞してデビュー。2005年『対岸の彼女』で第132回直木賞、2006年「ロック母」で第32回川端康成文学賞、2007年『八日目の蟬』で第2回中央公論文芸賞、2012年『紙の月』で第25回柴田錬三郎賞、2021年『源氏物語』で第72回読売文学賞(研究・翻訳賞)を受賞。
文芸公募ニュースバックナンバー
2025.3.28更新 発表:第5回フレーベル館ものがたり新人賞、第33回やまなし文学賞、ほか
2025.3.14更新 発表:第15回日本語大賞、第2回美郷文芸エッセイ賞、ほか
2025.2.28更新 発表:第8回青い鳥文庫小説賞、第8回徒然草エッセイ大賞、ほか
2025.2.14更新 発表:第11回林芙美子文学賞、第21回坊っちゃん文学賞、ほか
2025.1.31更新 発表:第28回伊豆文学、第20回木山捷平短編小説賞、ほか
2025.1.17更新 発表:第10回藤原正彦エッセイコンクール、第59回北日本文学賞、ほか
2024.12.27更新 発表:第36回舟橋聖一顕彰青年文学賞、2024年度織田作之助青春賞、ほか
2024.12.13更新 発表:第36回新美南吉童話賞、第35回伊東静雄賞、ほか
2024.11.22更新 発表:日本ファンタジーノベル大賞2025、論創ミステリ大賞か
2024.11.8更新 発表:第28回日本ミステリー文学大賞新人賞、第8回大藪春彦新人賞、ほか
2024.10.11更新 発表:第56回新潮新人賞、第61回文藝賞、第48回すばる文学賞、ほか
2024.9.27更新 発表:第18回島田荘司選 ばらのまち福山ミステリー文学新人賞、ほか
2024.9.13更新 発表:第12回ハヤカワSFコンテスト、第6回ことばと新人賞、ほか
2024.8.23更新 発表:第14回アガサ・クリスティー賞、第2回創元ミステリ短編賞、ほか
2024.8.9更新 発表:第3回警察小説新人賞、第36回労働者文学賞2024、ほか
2024.7.26更新 発表:第15回創元SF短編賞、第7回田畑実戯曲賞、ほか
2024.7.12更新 発表:第45回小説推理新人賞、第9回カクヨムWEB小説コンテスト、ほか
2024.6.28更新 発表:メフィスト賞2024年下半期、第14回集英社みらい文庫大賞、ほか
2024.6.14更新 発表:第44回横溝正史賞ミステリ&ホラー大賞、第31回松本清張賞、ほか
2024.5.24更新 発表:第70回江戸川乱歩賞、第1回有吉佐和子文学賞、ほか
2024.5.10更新 発表:第23回女による女のためのR-18文学賞、第40回太宰治賞、ほか
2024.4.26更新 発表:第11回日経・星新一賞、第67回群像新人文学賞、ほか
2024.4.12更新 発表:第18回小説現代長編新人賞、第129回文學界新人賞、ほか