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高橋源一郎の小説指南「小説でもどうぞ」第17回「家」結果発表

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作文・エッセイ
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小説でもどうぞ
イラスト:福士陽香
■選考委員/高橋源一郎

1951年、広島県生まれ。81年『さようなら、ギャングたち』でデビュー。
小説、翻訳、評論など著書多数。日本のポストモダン文学を代表する作家。

募集中のテーマ

■第20回 [ お仕事 ] 
3/1~3/31(消印有効)

■第21回 [ 学校 ] 
4/1~4/30(消印有効)

※募集期間外の応募は無効になります。

第17回結果発表
課 題

 今回の課題は「家」。じっくり読んでみたが、「怖い」と感じるものが多かった。現代人にとって「家」とは、休める場所ではなくなってしまったのかもしれない。

最優秀賞

 受賞作となったのは渡鳥うきさんの「愛しい人」。あるとき、「僕」は、「三年先輩の中山さん」に声をかけられる。仕事のあと、家に来てほしいと言われるのである。それには理由があった。中山さんは会社でも有数の美女でカッコいい婚約者もいた。けれどもその婚約者を交通事故で亡くしたのである。残されたのは、彼と買った家。その家でなにかが起こるらしい。だから霊感のある「僕」に調べてほしかったのだ。「僕」は感じる。「家」の願いを。そして、それを中村さんに告げるのである。泣けました。

佳作

 清本一麿さんの「鳩時計」は奇妙なお話。「私」は、バーらしきところで「頭にシルクハットを被っ」た男に出会う。男は「鳩時計修理の専門家」だと名乗る。つい出来心で「私」は、その男を家に招いた。家に鳩時計があったからだ。すると、男は鳩時計を修理してくれる。というか「改良」してくれるらしい。「席を外して」と言われ、言われた通り、席を外し戻ってみると、男は姿を消している。しかも、鳩時計はどこにもないのである。いったい、どうして……驚天動地のクライマックス。確かに「家」がテーマでした。


 昂機さんの「無期懲役」の家は変わっている。なぜなら「俺は空き巣」だからだ。「空き巣」にとって家は、盗むためにのみ存在しているのである。窃盗と「空き巣」が違うのは(たぶん)、窃盗が盗むだけなのに、「空き巣」は、少しの間住むことだってある。他人の家が「俺」の家でもあるのだ。そんな「俺」は、あるお屋敷に忍びこみ、不思議なオイルランプを見つける。ついこすってみると、煙が立ち込め、なんと「魔人」が。もちろん、「俺」は願いを叶えてもらうのだが……終わりにもう一ひねりあれば完璧だった。


 這沢みどりさんの「卵膜」は、ちょっと不気味なお話。文章もテーマにふさわしくねっとりと重い。「俺」は実家に戻る。そこに一人で住んでいる母親はメダカを飼っている。「俺」が実家に戻るたびに、メダカたちの水槽が増え、大きくなり、「俺」の部屋にまで侵入している。そして、母親の手にかかると、水槽の中でメダカは卵をどんどん産み、子どもたちが増えてゆくのである。実は「俺」は、子どもが欲しくないと言い続けた妻と別れたのである。そんな「俺」と母親が交わす最後の会話、なんか不気味です。


 かく遥加さんの「家出」。この作品で「家出」をするのは実は「家」そのもの。びっくりだ。この世界では各人に「家」が支給される。しかし、その「家」は、住んでいる人間に問題があると、家を出てゆく……じゃなくて「家」が置き手紙を残して出てゆくのである。この物語の主人公の「俺」は、今回の「家出」で九回目。これが十回になると、ついには地球から追い出されてしまうのだ。なぜこんなことになったのか。それは、親から虐待されたからなのだ。最後に「家」は、ある行動をとる。いや、ホッとしましたよ。


 遠木ピエロさんの「あの場所で待ってる」は、ちょっと切ないお話だ。「俺」の両親は離婚。やがて「俺」は独り暮らしの孤独な生活を送るようになった。憂さ晴らしにやっていたのは、他人の家をバットでぶち壊すこと。幸せな家を見ると壊したくなるのだ。すると、突然、アンドロイドの捜査官がやって来る。ああ捕まるのか。覚悟をすると、そうじゃない。「この家に私を住まわせてくれない? 私が幸せな生活を味わわせてあげるからさ」というのだ。そして始まる共同生活……ホッとする終わりだった。悪くないね。


 ササキカズトさんの「帰りたくない」は、家に帰りたくない夫の物語。「飲みの席」から戻って来ると、妻が毎晩、どんなに遅くなっても玄関で待ち構えているのだ。理由は「俺の浮気を疑っている」から。馬鹿馬鹿しい。「誓って言うが、俺は浮気はしていない」のだ。うんざりだ。そして今日。「俺は一人で飲んだ」、帰って来るとやはり玄関に妻がいて「また女のところに行ってたんでしょ」。吐き気がして洗面所で吐いていると、玄関をドンドン叩く音が……そして衝撃のクライマックス。いや、びっくり。家は怖いです。


 諸井佳文さんの「スィート・ホーム」は、現代風の「怖い」家とは一線を画したところから始まる。家に帰ると「妻のサユリ」が完璧な料理を作って待っている。買い物も無駄がなく完璧。はて? そう思っていると、種明かしが。実は、妻は「汎用型AI」だったのである。次の日、「僕」は子どもと元妻が住むマンションに出かける。するとダイニングテーブルには三人分の食事が。なんと、妻には結婚を前提として付き合っている彼氏がいるのだ。そして「僕」は考える……のだが、最後がぴんと来なかった。

応募要項
課 題

■第20回 [ お仕事 ]

 課題に「遊び」があるなら、当然「お仕事」もあります。いったい世の中に、どれくらい「お仕事」があるんでしょう。みなさんは、どんな「お仕事」をされています? いや、それ、ほんとに「お仕事」ですか?

■第21回 [ 学校 ]

 学校へは誰でも行く。小学校・中学校・高校・大学・専門学校。料理学校に音楽学校、美術学校。教えてくれるところはみんな学校。メダカの学校だってある。大人の階段を昇る「大人の学校」だってあるかもしれない。

締 切

■第20回 [ お仕事 ] 
3/1~3/31(消印有効)
■第21回 [ 学校 ] 
4/1~4/30(消印有効)

規定枚数

A4判400字詰換算5枚厳守。ワープロ原稿可。
用紙は横使い、文字は縦書き。

応募方法

郵送の場合は、原稿のほか、コピー1部を同封。
作品には表紙をつけ(枚数外)、タイトル、氏名を明記。
別紙に〒住所、氏名(ペンネームの場合は本名も)、電話番号、メールアドレスを明記し、原稿末尾に並べ、ホッチキスで右上を綴じる(ゼムクリップ不可)。コピー原稿には別紙は不要。
作品にはノンブル(ページ番号)をふること。
作品は封筒に裸で入れ、折らないこと。作品の返却は不可。

※WEB応募の場合も作品には表紙をつけ、タイトルと氏名(ペンネームの場合はペンネームのみ)を記入すること。

応募条件

未発表オリジナル作品とし、入選作品の著作権は公募ガイド社に帰属。
応募者には、弊社から公募やイベントに関する情報をお知らせする場合があります。

発 表

第20回 6/1、公募ガイドONLINE上
第21回 7/1、公募ガイドONLINE上

最優秀賞1編=Amazonギフト券1万円分
佳作7編=記念品
選外佳作=WEB掲載

応募先

● WEB応募
上記応募フォームから応募。
● 郵送で応募
〒105-8475(住所不要) 公募ガイド編集部
「第〇回小説でもどうぞ」係

お問い合わせ先

ten@koubo.co.jp


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受講料 5,500円

https://school.koubo.co.jp/news/information/entry-8069/