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竜泉寺成田

あなたとよむ短歌 vol.70 テーマ詠「新しさ」結果発表

柴田葵のコメント

竜泉寺さんのこの短歌は、「毎回新しい」もしくは「新しさがない」という状態を詠んだものです。何回目でも痛いものは痛くて、2回目だから大丈夫ということはない。つまり、ぜんぶ1回目の痛みと同じってこと? たしかにそんな気がしてきます。 ケガにしろ注射や頭痛などにしろ、実際には、何度か経験すれば前回までの経験を思い出すものです。ただ、純粋に「痛さ」だけにフォーカスすると、痛いものは痛くて、もうこれ1回目と同じじゃない? ぜんぶ1回目じゃない? と、雑なことを半泣きになりながら言いたくなります。この短歌を読むと「あ、いま痛いんだな」と思います。痛みを感じているときの、妙に冷静になる瞬間が想起されます。

ななつの

あなたとよむ短歌 vol.70 テーマ詠「新しさ」結果発表

柴田葵のコメント

何がすばらしいかって、新しく買った服の量を「3キロ」と表しているところです。「着」でも「枚」でも「袋」や「箱」でもなくて「キロ」! ずっしりと重さを感じるほど買ったのでしょう。俵万智さんの「大きければいよいよ豊かなる気分東急ハンズの買物袋」という短歌を思い出します。「キロ」という表現を使うことで、袋が食い込む手のひらのほのかな痛み、畳まれた服のさまざまな形など、読む側の感覚がさまざまに刺激されます。 予定があるから服を買うのではなく、服を買ったから予定を入れなくちゃ、と思うのも、人間らしくてとても好きな短歌です。

西宮結

あなたとよむ短歌 vol.70 テーマ詠「新しさ」結果発表

柴田葵のコメント

「新しさ」という概念を、比較的概念のまま詠んだ作品も多く投稿されていたなかで、西宮さんの一首はとても魅力的でした。 「明日」は常に新しい=ここまでは多くの人が「新しさ」というテーマから発想するでしょう。この一首は、そこをもう一歩踏み込んで「新しいものが苦手だから、明日すら使い古されていてほしい」という、未来への怖さ、不安、緊張が描かれています。 「ください」と誰に言っているのでしょうか。神さまでしょうか。実際には「使い古した明日」などないことを、この作品の主体は理解しているような気がします。無理だとわかっているからこそ、まるでマクドナルドでハンバーガーを買うようなカンタンな言葉づかいで呟いてみたくなるのかもしれません。 新しい日、新しい年、新しい環境だと「頑張らないといけない」「失敗は許されない」などと思いがちです。周囲が張り切っているのを感じるだけでもプレッシャーになることがありますよね。マイペースにやっていきたいものです。