公募/コンテスト/コンペ情報なら「Koubo」

話題の「いちごつみ」とは?1520_1000_B.jpg
スマホで応募できる短歌公募_02.jpg
2603_春の創作公募10選.png
2402_tanka.png
2501_短歌とジェンダー.png

岸寅太郎

あなたとよむ短歌 vol.75 テーマ詠「匂い」結果発表

柴田葵のコメント

これは誰しも心当たりがあるのでは。仕舞っていたり、出しっぱなしにしておいたりしたストーブを久々につけると、埃が焼けたような匂いがしますね。特に掃除のしづらい古い型のものや、学校、公共施設の暖房具などはどうしてもそのようになります。冬の始まりを感じさせる特有の匂いです。 その匂いを想起させるだけでなく「最初の五分だけ」という時間経過も効果的です。匂いが気になるくらいなので、誰かと話しているわけでもなく、静かな5分間だったのかもしれません。これからやってくる冬を、嗅覚や時間経過、静寂さで表現したすばらしい一首です。

竜泉寺成田

あなたとよむ短歌 vol.75 テーマ詠「匂い」結果発表

柴田葵のコメント

テーマ詠「匂い」の際に、匂いだけに注目せず、匂いを嗅ぐときの顔に注目した点も秀逸です。その匂いを嗅ぐ表情が、びっくりするほど祖父に似ていたのでしょう。両親と顔立ちが似ていると感じることはままあありますが、祖父という年代も離れた人と、ある表情のときにだけ顔が似ているというのは、遺伝の面白さや逃れられなさを感じます。 しかもこの短歌では祖父は「もう死んだ」とのこと。つまり、記憶や写真の中の祖父の姿です。ほら似ているよと本人に見せることも、顔を並べてみることもできません。それでも、匂いを嗅いだ自分の顔にいつでも祖父の影が見えるのは、宿命というかなんというか、人間とは奇妙なものですね。

まちりこ

あなたとよむ短歌 vol.75 テーマ詠「匂い」結果発表

柴田葵のコメント

香りにはそれぞれに思い出が宿っていきます。線香花火を楽しんだ(もしかしたら幼少期や、青春時代などの)楽しく甘い思い出も、遺影で見る祖母の笑顔を思い出すこともあるのでしょう。もしかしたら同時に想起することもあるかもしれません。 そのいずれもが主体の経験したことであり、人生です。この短く何気ない日常を描いた一首に、人間が生きていくだけで蓄積されるさまざまな物事の重みを感じます。