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みつき美希

あなたとよむ短歌 vol.67 テーマ詠「熱」結果発表

柴田葵のコメント

グイグイと泳ぎ、力強く跳ねることもできるイルカの体には、つややかな生命力を感じます。幼い子どものパワフルなイメージにぴったりですね。しかし発熱をした子どもは、まるで「泳ぎかたわすれたイルカのよう」にぐったりと横たえている。比喩が秀逸です。 「泳ぎかた/わすれたイルカ/のように子は」と、2・3句めが句跨りのような連結になっています。そのため、上句を一気に読ませ、その「長さ」がにゅーんと伸びた子どもの寝姿を想起させます。子どもって寝ていると不思議と大きく見えるんですよね。静かに寝ているからこそ気がつく、子どもの身長、重さ、大きさも表現されています。

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Mifu

あなたとよむ短歌 vol.67 テーマ詠「熱」結果発表

柴田葵のコメント

「耐熱できない恋ごと割れた」のキャッチーさ、インパクト、すごくいいですよね。グラタンも恋も、熱ければいいってもんじゃないんでしょう。熱さにも限度があるようです。 「花柄のグラタン皿」というのも具体的なイメージが浮かびやすく、モチーフとしてGoodです。かわいらしいお皿に、家でつくるのに向いている&ちょっとうれしい感じのメニュー。恋人と食べるために料理していたのかな、などと背景を感じさせます。

佐藤彩夏

あなたとよむ短歌 vol.67 テーマ詠「熱」結果発表

柴田葵のコメント

電子レンジは生活に欠かせない家電ですが、その加減が意外と難しいもの。熱しすぎて取り出せなくなることもしばしばです。「溶岩を取り出すように」という比喩は、溶岩を取り出したことがない人でも雰囲気が想像できるのではないでしょうか。どこまで触れるか、菜箸を使うのか、タオルを挟んで皿を持つのか……。そーっとがんばるしかありません。 「魚を救う」ではなく「ホッケを救う」とした点も効果的です。他の魚より大きめの、ホッケの開きが思い浮かびます。大きくて柔らかいので、うっかりすると身が崩れそうです。これは困難な作業ですね。まるで「溶岩を取り出すように」。 「熱しすぎた」が6音である点がちょっと気になりました。「熱くしすぎた」とすると7音になり収まりがいい気もするのですが、意図があっての字足らずでしょうか?

久方リンネ

あなたとよむ短歌 vol.67 テーマ詠「熱」結果発表

柴田葵のコメント

ストーブが熱いのは当たり前のことです。けれどもあえて「きちんと熱い」とすることで、反対に「きちん」とできていない私【なんか】にも「きちんと熱い」ストーブを出してもらってしまった、という思いが現れています。登校が難しくなって、廊下まではこられて、動けなくなってしまったのでしょうか。辛いですね。でもきっと大丈夫です。きちんとしなくても。

乃木ひかりさん

あなたとよむ短歌 vol.67 テーマ詠「熱」結果発表

柴田葵のコメント

昼か夜か、自宅か自宅外かはわかりません。ただ、外食や自炊ではなくコンビニ弁当を温めている描写は、時間や体力・気力を節約せざるを得ない、忙しそうな印象を受けます。仕事は繁忙で、けれども情熱を「燃やす場所」ではないのかもしれません。熱くならない情熱と、温かくなるコンビニ弁当の対比。

そら

あなたとよむ短歌 vol.67 テーマ詠「熱」結果発表

柴田葵のコメント

祈りの場も観光地になりがちな昨今、護摩のお焚き上げの様子を撮影する人もいるでしょう。けれども、この一首はどうも違う気がします。煩悩を焼くといわれる護摩の火にスマホを向けて、心を清めようとしている様子。もはやスマホは現代人の脳の一部です。スマホにも護摩が効くといいですね。